任天堂も株価暴落……2026年、PC市場を襲う「未曽有の供給ショック」とは(3/5 ページ)
生成AI特需の裏側で、PC市場に異変が起きている。メモリ価格は2カ月で約4倍、PCは大幅値上げへ。2026年に現実味を帯びる「供給ショック」は、ムーアの法則とデジタル機器の常識を覆す可能性がある。
2026年、「ムーアの法則」は経済的に終えんするのか
この供給ショックがもたらすのは、単なる価格上昇だけではない。より深刻なのは、コンシューマー市場における「ムーアの法則」が、経済的な意味で機能しなくなる可能性だ。
ムーアの法則とは「半導体の集積率は18〜24カ月で倍増し、性能向上と低価格化が同時に進む」という経験則であり、半世紀にわたりIT産業の成長を支えてきた。
分かりやすい例がUSBメモリの価格推移である。2004年ごろ、512メガバイトのUSBメモリは3万円近くで販売されていた。現在では512ギガバイトの製品が3000円台で購入できる。容量は1024倍に増え、価格は約10分の1に下がるという劇的な変化だ。
しかし、この等比級数的な性能向上と価格低下のトレンドが、2026年を境に崩れる可能性がある。技術的な微細化自体は続くものの、最先端プロセスの製造能力はAIチップやサーバー向けに優先配分され、汎用品のコストパフォーマンスは大きく悪化しかねない。
台湾の市場調査会社TrendForceは、2026年以降、部材コストの上昇を吸収するため、スマートフォンやPCのエントリーモデルでは搭載メモリ容量が削減される可能性を指摘する。スマートフォンは8GBから4GB、ノートPCは16GBから8GBへと、数年前の水準に逆戻りしながら、価格は下がらない――スタグフレーション的な展開が予見されている。
高額な対価を支払っても、以前より低スペックな製品しか手に入らない。ゲーム機もまた、画質や処理性能に一定の妥協を前提とした設計を迫られる可能性がある。
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