任天堂も株価暴落……2026年、PC市場を襲う「未曽有の供給ショック」とは（4/5 ページ）

生成AI特需の裏側で、PC市場に異変が起きている。メモリ価格は2カ月で約4倍、PCは大幅値上げへ。2026年に現実味を帯びる「供給ショック」は、ムーアの法則とデジタル機器の常識を覆す可能性がある。

[古田拓也，ITmedia]

「所有」から「接続」へ　ビジネスモデル転換の兆し

　2026年の供給ショックが浮き彫りにするのは、端末内部で処理を完結させる「組み込み型」モデルの限界である。ゲーム機に代表される専用ハードウェア型ビジネスは、部材コスト高騰の影響を直撃し、価格転嫁か性能抑制かという厳しい選択を迫られる。

　一方、この逆風はクラウド型サービスにとって追い風となる可能性がある。高性能半導体がデータセンターに集中するのであれば、端末側は表示装置に徹し、重い処理はクラウドで担う方が経済合理性は高い。かつて通信遅延などで普及が進まなかったクラウドゲーミングや仮想デスクトップも、ハードウェア価格へのインフレに対する現実的な対抗策として再評価される余地がある。

　「強い端末」を所有する時代から、「強いクラウド」に接続する時代へ。PC供給ショックは、デジタル経済の重心を再びネットワークの向こう側へと押し戻し、新たなエコシステム形成を促す契機となるかもしれない。