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なぜ、クレカは“主役”になれなかったのか 銀行が先に広げた「組み込み金融」エンベデッドファイナンスの誤算(3/5 ページ)

クレジットカードは本来、異業種と結び付く「組み込み金融」の先駆けだった。だが、なぜ銀行に主役の座を譲ったのか。システムの制約や業界構造をひも解きながら、CCaaSを起点に始まったクレカ業界の変化を追う。

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「銀行より止められない」カードの宿命

 では、なぜ提携カードは進化が遅れたのか。一つは、あまりに当たり前の存在だったからだ。異業種の金融参入といえば、提携カードが代表例だった。それが常識として定着していたため、新たな潮流として注目されることがなかった。

 もう一つの理由は、システムの硬直性だ。銀行は意外とシステムを止める。例えば、3連休にメンテナンスを実施したり、かつては午後3時に窓口業務(フロント)を閉じて、バックエンド処理だけを動かしたりしていた。


(出典:ゲッティイメージズ)

 一方、クレカは最初から24時間365日稼働が前提だ。海外旅行中に使えなければ困る。止められないシステムは、更新もできない。技術的負債が積み重なり、新しい機能の追加や柔軟なAPI連携が困難になる。三菱UFJニコスが複数システムの統合に苦戦し、結局20年前の旧システムを使い続けているという事例は記憶に新しい。

 「カード会社の担当者の多くは、柔軟で遊び心もある。でもシステムが重たいから、やりたいことの半分もできていなかった」と沖田氏は業界の実情を語る。

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