住信SBIネット銀行が「ドコモSMTBネット銀行」に――通信×銀行×信託の三位一体で狙う「インビジブルバンキング」とは(1/5 ページ)
ドコモ、住信SBIネット銀行、三井住友信託銀行の3社がついに具体的な戦略を明らかにした。新たな社名は「ドコモSMTBネット銀行」だ。
筆者プロフィール:斎藤健二
金融・Fintechジャーナリスト。2000年よりWebメディア運営に従事し、アイティメディア社にて複数媒体の創刊編集長を務めたほか、ビジネスメディアやねとらぼなどの創刊に携わる。2023年に独立し、ネット証券やネット銀行、仮想通貨業界などのネット金融のほか、Fintech業界の取材を続けている。
住信SBIネット銀行が10月にNTTドコモの連結子会社となり、大手キャリア4社で唯一「銀行を持たない企業」だったドコモの金融戦略が動き出した。あれから約3カ月。ドコモ、住信SBIネット銀行、三井住友信託銀行の3社がついに具体的な戦略を明らかにした。新たな社名は「ドコモSMTBネット銀行」。SMTBは三井住友信託銀行(Sumitomo Mitsui Trust Bank)の略称だ。通信・ネット銀行・信託という異色の三位一体で何を狙うのか。
12月19日、3社が都内で記者会見を開き、戦略の全容を明らかにした。2026年8月の社名変更に先立ち、三井住友信託銀行が約800億円を追加出資する資本再編を実施。共同経営体制を一段と強化する。
3社が掲げるビジョンは「くらしと金融の境目のない未来」である。銀行機能が日常生活に溶け込み、利用者が意識せずとも金融サービスの恩恵を受けられる「インビジブルバンキング」の実現を目指す。その具体策として、生成AIを活用した新サービス「NEOBANK ai」を2026年2月に投入。音声やチャットで振込などの取引が完結する世界を描く。
「奇をてらわない」社名に込めた決意
新社名の「ドコモSMTBネット銀行」は、両株主の名前を並べたシンプルな構成だ。NTTドコモの前田義晃社長は会見で「あえて奇をてらわない社名とした」と説明。「共同経営パートナーであるドコモと三井住友信託銀行が一丸となって経営にコミットし、さらなる成長を目指す強い決意の証だ」と語った。
社名変更に先立ち、12月25日には資本再編を実施する。ドコモが保有する株式の一部(約500億円相当)を三井住友信託銀行へ譲渡。加えて住信SBIネット銀行が三井住友信託銀行を引受先とする第三者割当増資(約300億円)を行う。三井住友信託銀行による追加出資は合計約800億円に上る。
再編後の出資比率はドコモが55.37%、三井住友信託銀行が44.63%。ただし議決権比率は50対50を維持する。
三井住友信託銀行の大山一也社長は、この大型出資の狙いをこう説明した。「当社は資本活用フェーズにある。今後の成長に向けた積極的な投資という位置付けだ」。非上場化した住信SBIネット銀行との連携は「より柔軟な運営が可能になる」とし、一体経営を加速させる考えを示した。
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