「一番搾り 糖質ゼロ」5年で8億本 なぜ“主力ブランド”で勝負したのか、担当者に聞いた(2/5 ページ)
「一番搾り 糖質ゼロ」が発売から5年で累計8億本を突破した。糖質ゼロという難題に、なぜキリンは主力ブランドで挑んだのか。開発の経緯や狙いを、担当者の言葉から読み解く。
「一番搾り」ブランドで勝負した理由
開発では、「糖質ゼロ」と「ビールらしい味わい」の両立を目指し、製造工程を見直した。麦芽の選定、仕込技術の進化、酵母の選定という3つのポイントを組み合わせることで、糖質ゼロを実現した。「何かを混ぜたり抜いたりするのではなく、自然の力で糖質ゼロにしている」(柴田さん)
開発には5年を要したが、社内では開発中止を求める意見は少なかったという。むしろ、「糖質ゼロを実現できれば、顧客に新しい価値を届けられる」と期待する意見が多かった。
2020年10月、キリンは国内初となる糖質ゼロのビールを、主力ブランド「一番搾り」から発売した。
糖質ゼロをうたうビール系飲料としては、サントリーの「パーフェクトサントリービール(PSB)」、アサヒの「スタイルフリー」、サッポロの「極ZERO」と、各社とも主力ブランドとは切り離し、別ブランドとして展開している。既存ブランドから商品を展開するのはキリンのみだ。
理由について、柴田さんは「新ブランドよりも、一番搾りの糖質ゼロであれば手に取ってもらいやすいと考えた」と説明する。看板を背負う以上、失敗すればブランド価値を損なうリスクもあったが、知名度と「一番搾りの糖質ゼロならおいしいはず」という消費者からの期待を生かそうという考えだった。
結果として、当初の狙いに沿う形となった。発売1カ月で100万ケース(大ビン換算)を突破し、初月の販売実績は計画比120%を記録。過去10年のキリンビール新商品で最高の滑り出しとなったほか、糖質ゼロのビールという新たなセグメントを広げた。
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