「一番搾り 糖質ゼロ」5年で8億本 なぜ“主力ブランド”で勝負したのか、担当者に聞いた(3/5 ページ)
「一番搾り 糖質ゼロ」が発売から5年で累計8億本を突破した。糖質ゼロという難題に、なぜキリンは主力ブランドで挑んだのか。開発の経緯や狙いを、担当者の言葉から読み解く。
拡大傾向の市場でポジションを確立
健康志向を背景に、糖質オフ・ゼロといった機能系ビール市場への関心は高まっている。ただし、ビール(麦芽比率50%以上)として展開しているのは、キリンとサントリーの2社のみ。そのほかの商品は、いずれも発泡酒カテゴリーに属する。
「ビールの味わいを楽しみながら糖質も気にしたい」というニーズに応える選択肢が少ない中、その希少性も、市場でのポジション形成に寄与している。
一方で、パイオニアであるがゆえの課題もある。糖質ゼロビールには「おいしくない」「健康のために味を我慢して飲むもの」というネガティブなイメージがまだ残る。「ポジティブに楽しみながら飲むものだと伝えていきたい。味もさらにおいしくできる」と柴田さんが語るように、コミュニケーションと味の両面で、改善の余地がありそうだ。
また、主力ブランドを冠したことも、キリン独自のジレンマになる可能性がある。「一番搾り」という看板を背負う以上、消費者の期待値は高くなり、味への評価はシビアにならざるを得ない。「一番搾りらしい味わい」というハードルを越え続けることが求められる。
さらに、競合の追い上げも無視できない。同じビールカテゴリーで展開するサントリーの「PSB」は、2025年1〜10月の販売数量が前年比117%と伸長している。
2026年10月には酒税改正を控えており、ビールの税率が引き下げられ店頭価格も下がることが予想される。追い風であると同時に、競争は一段と激しくなる見通しだ。柴田さんは「値段が下がるときこそ、商品の価値がシビアに見られる」と語る。
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