「廃墟モール」はなぜ生まれたのか もう一度“にぎわい”を生み出す方法:スピン経済の歩き方(5/7 ページ)
今後「年間100万人」ペースで人口が減少していく日本。廃墟モールも増える中で、地方都市が生き残るには……。
「街のにぎわい」を創出している施策も
さて、そこで重要なのは「じゃあどうすればいいのか」ということだ。それを考えていくうえでヒントになりそうな施設がある。神奈川県大和市の「文化創造拠点シリウス」である。
この施設は1階から5階にかけて図書館機能があり、各フロアにコンセプトがあり、従来型の図書館もあれば、カフェで購入したコーヒーなどを持ち込んだり、おしゃべりができたりするフロアもある。図書館流通センターが指定管理者になるなど、本のラインアップも充実している。
加えてメインホール(1007席)、サブホール(272席)、ギャラリーやセミナールームなどもあって、プロのアーティストだけでなく、市民が趣味などで気軽に利用できるような「にぎわいの場」が整備されている。
少子化の中で、少しでもファミリー層を迎え入れようということで、施設内には遊具をそろえた「げんきっこ広場」「ちびっこ広場」や保育室、子育ての相談室もある。
そんな「文化創造拠点シリウス」がなぜ「街のにぎわい」をつくれているのかというと、これから来るべき日本社会の姿にマッチしているからだ。
ロブレが閉鎖される2029年ごろ、日本の人口は1億1600万人ほどに減って、人口の約3割は65歳以上という「高齢者の国」になる。
先ほども申し上げたように、商業施設はファミリー層がメイン。では、65歳以上はどこへ向かうのかというと「文化施設」だ。図書館で読書や動画を楽しんだり、ホールで音楽を聴いたり、ギャラリーで絵を鑑賞したり、セミナールームで友人たちと趣味に興じる。
もちろん、イオンモールで買い物を楽しんだり、ジムやアウトドアでアクティブに過ごしたりする65歳以上もいるだろうが、体力も落ち、人混みを嫌うようになった高齢者の場合、このような文化施設で日中を過ごす人も多いのだ。うそだと思うなら平日の昼間、地域の図書館や美術館などの文化施設に行ってみるといい。
地方自治体としては「現役世代」の減少を少しでも食い止めなくていけないので、施設内にはファミリー層が喜ぶ機能も入れなくてはいけない。それが図書館に子ども向けの蔵書を充実させることや、「げんきっこ広場」などの遊び場や保育室を設置することである。商業施設は既にイオンモールなどがあるので、わざわざレッドオーシャンに飛び込む理由はない。
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