「廃墟モール」はなぜ生まれたのか もう一度“にぎわい”を生み出す方法:スピン経済の歩き方(6/7 ページ)
今後「年間100万人」ペースで人口が減少していく日本。廃墟モールも増える中で、地方都市が生き残るには……。
運営費はどうするのか
ひとつ大きな問題となるのが、財政だ。これだけの施設を運営するには当然、お金がかかる。ただでさえ少子化により社会保障費が増大する中で、巨大なハコモノを運営するのは至難の業だ。
そこで重要なのが「観光」だ。「文化創造拠点シリウス」のような文化施設の中に、居住者以外の人間がお金を払って訪れるような「観光スポット」をつくって、その収益を運営費に充てるのだ。
このような考えに基づく施設は既に存在している。例えば、千葉県鋸南町では、過疎化や高齢化が進む地域の活性化を目的に「道の駅 保田小学校」を整備した。廃校となった小学校をリノベーションした施設で、地元の名産品を扱うマルシェや飲食店、宿泊施設を備え、多くの観光客が訪れている。
一方で、観光拠点にとどまらず、近隣住民の交流の場として音楽室や家庭科室を開放。雨の日でも子どもが遊べるキッズスペースや、コワーキングスペースも設けている。
つまり、人口減少で悩む自治体の地域活性化を「観光による収益」で下支えしている形なのだ。
これと同じ発想で、「にぎわい創出のための文化施設」の中には「観光による収益」が期待できるスポットも含まれるのだ。例えば小山市には、駅から少し離れた場所に、徳川家康が天下取りへと動き出す契機となった軍議「小山評定」が行われた「小山御殿」がある。
現在は跡地の公園しかないが、ロブレの跡地にできる公共施設の中で一部を復元してはどうか。真田広之さん主演・プロデュースの『SHOGUN 将軍』や、岡田准一さん主演・プロデュースの『イクサガミ』などの時代劇は、現在、世界的に人気を集めている。
「日本最大のサムライ戦の命運を分けた聖地」とかなんとかPRをして、新たな観光名所にしてしまったらどうか。現在公開中の映画『新解釈・幕末伝』の福田雄一監督は、小山市出身で「小山評定ふるさと大使」も務めている。市の全面バックアップで、戦国時代を舞台とした映画をつくってもらったら観光PRにもつながるのではないか。
バカバカしいと失笑するかもしれないが、「年間100万人」が減少していく日本の地方都市では、これくらい貪欲に「外貨」を稼いでいかなければ、公共施設どころか、公共サービスそのものを維持できない。
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