『豊臣兄弟!』主役の秀長はスゴ腕ビジネスパーソン? 現代に必要な「名参謀」の条件:働き方の見取り図(1/3 ページ)
放送が始まったNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』。主役・豊臣秀長は、現代のビジネスパーソンに置き換えるとどのような存在なのか――。
新年からNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』が始まりました。戦国時代を舞台に、豊臣秀吉とその夢を支え続けた弟・秀長の兄弟の絆を軸に描くサクセスストーリーです。
このドラマでは天下人となった兄の秀吉ではなく、弟の秀長が主人公です。秀長は兄を支えた“名参謀”として知られる人物ですが、主役として描かれる機会は決して多くありませんでした。
多くの場合、優れた功績を上げる組織で注目されるのはリーダーです。しかし、そのそばに優秀な参謀の存在が見え隠れするケースは少なくありません。知られている事例では、戦国時代なら武田信玄と山本勘助、三国志であれば劉備と諸葛孔明、プロ野球なら巨人でV9を成し遂げた監督・川上哲治とコーチ・牧野茂の関係などがあります。
優れた業績を上げている会社においても同様です。社長やCEOなどの肩書きを持つリーダーにスポットライトが当たりがちですが、内実をのぞくと、表舞台からは見えづらいところで名参謀と呼ばれる存在が活躍していたりします。
では、変化が激しく、VUCAと称されるほど不確実で先行きが見通しづらい時代において、会社組織に求められる参謀像とはどのようなものなのでしょうか。参謀の振る舞い次第で、組織は成長もすれば、崩壊していくこともあるのです。
著者プロフィール:川上敬太郎(かわかみ・けいたろう)
ワークスタイル研究家/しゅふJOB総研 研究顧問/4児の父・兼業主夫
愛知大学文学部卒業。雇用労働分野に20年以上携わり、人材サービス企業、業界専門誌『月刊人材ビジネス』他で事業責任者・経営企画・人事・広報部門等の役員・管理職を歴任。
所長として立ち上げた調査機関『しゅふJOB総研』では、仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層を中心にのべ5万人以上の声をレポート。
NHK「あさイチ」「クローズアップ現代」他メディア出演多数。
参謀に求められる3つの役割
参謀の役割は、大きく3つあります。
1つは、「ビジョンの実現」です。経営の手綱を握るリーダーには、会社が目指す目的地やビジョンなど進路を掲げる役割があります。それは時に、突拍子がないものであったり、一見すると実現不可能に思えたりするものであったとしても、共感したりワクワクしたり、社員が奮い立つものであることが重要です。
しかし、せっかくビジョンを掲げたとしても単なる絵空事で終わってしまっては元も子もありません。
リーダーが掲げたWhat、すなわち「何を成し遂げるのか」に対して、筋道を立てて現実のものにするためのHow、つまり「どのように進めるのか」を示し、実現させていく役割を担うのが参謀です。
2つ目に「視野の拡張」があります。リーダーが掲げたビジョンが本当に適切なのかどうか、多角的に検証しなければなりません。実現できたとしても顧客に喜ばれなかったり、他社との競争に敗れてしまったりしては意味がないからです。
また、倫理的に問題がある場合は、一時的に成果が出ているように見えても、やがて社会から糾弾されます。問題があったとしても、リーダーがビジョンを掲げると会社はその方向に向かって一斉に動き出してしまうのです。
誤りに対して、参考となる情報を提供し、最適なWhatを導き出せるようサポートする能力が参謀には求められます。会社の進路を制御する上で重要な役割です。
3つ目の役割は「社内外との橋渡し」です。WhatとHowが適切に定められたとしても、実行するには社内外の理解や協力が欠かせません。例えば、社内に「この目標で本当に良いのか」「このやり方でうまくいくのか」といった疑念が渦巻くと、組織はギスギスし、スムーズに前進できなくなります。
また、社内が合意したとしても、社外の各ステークホルダーから理解が得られなければ、顧客が離れていったり規制が強まったりと歩みは止まってしまいます。会社が一丸となるようにまとめると同時に、外部からも認められるような橋渡しが、参謀に課せられた重要な役割です。
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