「昔はもっと働いた」と言う人が見落とす視点 労基法改正見送りで問われる“高密度”労働の限界(1/3 ページ)
2026年は40年ぶりとなる労働基準法の改正が行われる予定でした。しかし昨年末、厚生労働省は労基法の改正案を2026年通常国会へ提出することを見送るとしました。予定されていた改正内容について触れるとともに、なぜ直前になって提出が見送られたのか、そして企業への影響について社会保険労務士が解説します。
2026年は40年ぶりとなる労働基準法の改正が行われる予定でした。しかし昨年末、厚生労働省は労基法の改正案を2026年通常国会へ提出することを見送るとしました。上野賢一郎厚生労働相が2025年12月26日の記者会見で「2026年の通常国会での法案提出は現在のところ考えていない」と述べています。これを受け、胸をなでおろしている中小企業の経営者が多いかもしれません。
「働き方改革が日本経済を駄目にした」「昔の日本人はもっと働いていた」──そんな主張をする人もいますが、SlackやLINEといったチャットツールの普及によって、現代の業務密度は昭和・平成とは比較にならないほど濃くなっています。企業は、法改正を待つのではなく、令和の時代に合った働き方改革を進めていくべきでしょう。
今回は、予定されていた改正内容について触れるとともに、なぜ直前になって提出が見送られたのか、そして企業への影響について社会保険労務士が解説します。
予定されていた改正内容7選
労基法は、下記の7点で改正が予定されていました。
(1)連続勤務の上限規制(14日以上連続勤務の禁止)
労基法では、企業は労働者に対して1週間のうち少なくとも1日の休日を与えなければなりません。ただし、業務の都合により困難と判断した場合には、「4週間を通じて4日の休日を付与」すれば、週休1日の適用を受けない特例が認められています。
この4週4休の特例は、理論上では長期の連続勤務が可能になってしまう点が問題視されており、特例を2週2日の変形週休制に見直すとしています。
(2)法定休日の明確な特定義務
現状では、週1日以上の休日が義務化されてはいるものの、どの曜日を法定休日に特定しなければいけないという義務はありません。法定休日とそれ以外では、割増賃金の割増率が違うため、法定休日を特定し就業規則などで明記しなければなりません。
(3)勤務間インターバル制度の義務化
勤務間インターバル制度は、労働者が適切な生活時間や睡眠時間を確保することを目的に、2019年4月に「努力義務」として導入されました。しかし、「令和6年就労条件総合調査」によると導入企業の割合は5.7%と低く、義務化が検討されています。義務になれば、勤務終了した時刻から翌日の勤務開始まで11時間空けなければなりません。
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