富士そば「外国人観光客お断り」は悪なのか 立ち食いそば騒動が問いかけた現実:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
庶民の味方である立ち食いそばに、外国人観光客が押し寄せる現象が起きている。外国人観光客お断りを示す店舗もあるが、「そば」が本当の意味でも世界に愛される日本食になるためにできることとは。
批判よりも共感のほうが圧倒的に多いワケ
ご存じの方も多いだろうが、国籍や人種、言語などで店側が入店を拒否することは「人種差別撤廃条約」違反および民法上の不法行為として違法になる可能性がある。外国人という理由だけで入店を断った店が裁判で負けて、賠償を命じられたこともあるのだ。
この「Notice」では「旅行者」としており、国籍や人種を直接示してはいないが、外国人観光客に向けたものであることは明らかで、かなり攻めたメッセージと言っていい。これは「富士そば」本部の指示ではなく、店舗側が独断でやったものらしい。
現場が勝手に不適切な言動をしてSNSが大炎上……というのは、これまで多くの外食チェーンが味わってきたパターンだ。が、今回はちょっと様子が違った。
いつものような批判はあったものの、店の呼びかけに対して一定の理解を示したり、共感したりする声が圧倒的に多かったのである。実際、本部が謝罪して撤退することに対し「なぜ撤回する!」「余計なことをするな」と店を擁護するような声も一定数あった。
なぜこうなったのか。都市部や観光地で見るからに増えてきた外国人観光客に対する不満が爆発したということもあるが、この業態にとって、外国人観光客が「迷惑客」になりやすいという事情も大きい。
ご存じのように「立ち食いそば」のように「安さ」を訴求して、もうけの少ないビジネスモデルがなぜ存続できるのかというと、鍵になるのが「回転率」だからだ。
注文を受けてサッと作ったら、それをサッと食べて、サッと出ていく。その間は、わずか5分。早食いの人などはもっと短い。だから、椅子を置かず、極めて狭いスペースでも成立する。
しかし、外国人観光客はそんなに急ぐ理由がない。旅先で初めて出会った食文化に驚き、感動して、写真に収めて、余韻にひたる。同行者がいたら話に花も咲く。つまり、立ち食いそばのビジネスモデルを真正面から否定するような客だ。
そういう意味では、オフィス街で高い地代の中で、シビアに回転率を上げなくてはいけないこの「富士そば」の店舗責任者が抱える苦悩は容易に想像できる。あのような掲示をしたくなるのも無理はない。
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