富士そば「外国人観光客お断り」は悪なのか 立ち食いそば騒動が問いかけた現実:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
庶民の味方である立ち食いそばに、外国人観光客が押し寄せる現象が起きている。外国人観光客お断りを示す店舗もあるが、「そば」が本当の意味でも世界に愛される日本食になるためにできることとは。
日本人も海外では同じだった
例えば、「ここは近隣で働く人たちが、短い休み時間にランチを食べに来る店ですので、お昼時は非常に混雑します」とか「日本の立ち食いそばは、サッと注文して、黙ってサッと食べて、サッと出ていく文化です。食後の休憩は近隣のカフェをご利用ください」など。
つまり、「立ち食いそば」というのは温泉や銭湯と同じく、日本独特の文化であって、ここを利用する以上、日本のルールに従うことを入店条件とし店の入り口に大きく掲示して、守れない場合は入店をお断りする。これならば国籍や人種での拒否ではないので、人権侵害にもならない。
一番のネックは「立ち食いそば」は基本的に個人経営店が多くて、業界団体のようなものがないので、こうした統一ルールを進められるような体制がないことだ。そこで考えられるのは、「ゆで太郎」や「富士そば」など大きな規模に成長した店もあるので、このような人々がリーダーシップをとって、ルールの啓発を進めていくことだろう。
「観光に行くんなら、その国のことをちゃんと勉強するべきだろう。こんなもんは大した効果もないから鎖国すべきだ!」という意見もあるだろうが、何を隠そう、こういう文化啓発のおかげでわれわれ自身も変わったという過去がある。
1980年代、日本人観光客は今の中国人観光客並みに嫌われていた。ローマの教会でミサ中にドカドカとツアー客がやって来てフラッシュをたきヒンシュクを買い、ハワイで地元民が大事に保護していたビーチを荒らし、東南アジアの夜の街では、企業や町内会の団体ツアー客が大暴れ、中には「売春ツアー」のようなものまであった。
あまりのやりたい放題ぶりに米『TIME(タイム)』誌では「世界の観光地を荒らすバーバリアン」と特集されるほどだった。しかし、それを恥じた日本、そして受け入れ国側双方で、日本人観光客に対する「文化啓発」が広まった。
ここでは写真を撮ってはいけません、この国ではこういうことがマナーです、ということを、分かりやすく図で解説した資料が配布され、現地の言葉を知らない、文化をよく知らない日本人でも、現地の人に迷惑をかけずに観光を楽しめるようになったのである。
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