「NVIDIA依存」からの脱却と「電力の壁」 巨大AIデータセンター競争の勝者は?
急速に進化するAI。その進化に伴ってAI業界の「常識」も変化する。NVIDIA依存を緩和する動きが目立つ。巨大AIデータセンター競争の勝者は?
急速に進化するAI。その進化に伴ってAI業界の「常識」も変化する。
1年ほど前までは、スケール則がAI業界の常識だった。AIモデルを大きくすればするほど、学習に半導体を多く使えば使うほど、学習データを大きくすればするほど、AIは賢くなるという経験則がスケール則だ。AI大手は半導体の買い占めに走り、AI半導体最大手の米NVIDIAの株価が高騰した。
ところが、近年は単純な規模拡大の費用対効果に限界が見え始めた。一方で、ユーザーからの質問に答える際に推論(Reasoning)の計算配分や手順を工夫することで、回答精度が大幅に向上するケースが増えている。つまり、「学習時の巨大計算」一辺倒から、「推論時の最適化やデータ品質、訓練設計」を含めた総合的な改良の段階に入ったわけだ。
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学研が挑む"真のDX"──「本当に使われるデジタル」で目指す教育価値のバリューアップ
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【概要】学研グループは、DXを目的化するのではなく、現場と顧客にとって“本当に使われるデジタル”を出発点に教育価値のアップデートに挑戦しています。本講演では、現場で浮き彫りになった課題や、実際に行ってきた改善や仕組みづくり、そこで得られた知見がどのように学研のDX推進を形づくんできたのかをお伝えします。既存のデジタル活用の成果と学びを振り返りながら、学研が目指す“真のDX”の姿をご紹介します。
独自チップの開発加速 NVIDIA一強体制の揺らぎ
これにより、半導体需要が減ったわけではないが、NVIDIA依存を緩和する動きが目立つ。米Googleは第7世代TPU「Ironwood」を発表し、推論向けに電力効率とコストパフォーマンスを高めた大規模ポッド(最大規模の構成が案内されている)を打ち出した。
米Amazonは米Anthropicと組み、学習(Training)用途の中核として独自開発のTrainium2を大規模展開する計画を進めている(推論ではTPUを含む他基盤の活用も続く)。米OpenAIは米Broadcomと半導体の共同開発で提携し、2026年から量産が始まると報道されている。
半導体供給が、AIの進化を制限する“唯一の足枷”ではなくなりつつあるわけだ。
「電力の壁」が突きつける現実 オンサイト発電へのシフト
一方で重要になるのが電力だと、Google元CEOのエリック・シュミット(Eric Schmidt)氏は言う。AI革命を最大限開花させるためには米国だけでも92ギガワットが必要という試算がある(2025年7月の発言とされる)。ちなみに原子力発電所1基で発電できる電力は1ギガワット程度。同氏は「核融合技術と核分裂技術もAIの需要の急速な高まりに間に合わない。300メガ級の小型発電機にも期待が集まっているが、完成するのは2030年以降になりそう」と語っている。
もちろん既存の電力網からの給電だけに頼るのは難しい。そこでAIデータセンターの敷地内(オンサイト)に発電設備を設ける取り組みが進む。
「超人的」な建設スピード インフラ構築が新たな競争軸に
イーロン・マスク氏が2025年5月にテネシー州に立ち上げたAIデータセンター「Colossus 1」では、敷地内で多数のガスタービン使用が外部資料で指摘され、許認可を巡る議論も生じている。2026年1月、同氏はテネシー州とミシシッピ州の境界にまたがる巨大拠点「Colossus 2」が、ギガワット(1GW)級AI学習クラスターとして正式に稼働を開始したと発表した。再利用水による高度な冷却システムを備えたこの施設は、2026年4月には1.5GW、年内には2GWの大台を視野に入れているという。
特筆すべきは同氏のデータセンター建設のスピードだ。NVIDIAのジェンスン・フアン(Jensen Huang)氏は、イーロン・マスク氏の仕事を「超人的」(superhuman)と評し、122日で施設を準備し、19日で学習を開始した前例のないスピードを称賛している。
半導体調査サイトSemiAnalysisによれば、AmazonのクラウドサービスAmazon Web Services(AWS)も驚異的なスピードでAIデータセンターの建設を前倒ししている。最終建設段階に入った複数キャンパス合計で、1.3ギガワット超の学習向けIT電力が確保されつつあるとの分析だ。
資金力だけでは勝てない局面へ 巨大インフラが占うAIの勝者
一方、米OpenAIは米Oracleと組んでAIデータセンターを建設するStargateプロジェクトを進めており、4.5ギガワットの追加拡張を公式発表した。テキサス州アビリーンの第1号施設は段階的に建設中で、公式の稼働開始時期は未公表(報道では2026年見込みとされる)。これらを合わせ、計画中の容量は累計で5ギガワット超と見込まれる。なお、資金・事業面ではソフトバンクなどが関与している。
AI大手はどこも巨大AIデータセンターの建設に躍起になっているが、調達環境は逼迫している。とくにディーゼル/ガスタービンなどの発電機調達の難しさが指摘され、資金力だけでは勝てない局面になっている。
では、巨大AIデータセンターを持つことが、AIモデルの性能向上にどの程度有効なのだろうか。イーロン・マスク氏のxAIやAnthropicから大規模学習クラスターで訓練された新モデルが出てくる可能性が高い。果たして、大規模クラスターで訓練された新モデルは、OpenAIのGPT-5に圧勝できるのだろうか。
本記事は、エクサウィザーズが法人向けChatGPT「exaBase 生成AI」の利用者向けに提供しているAI新聞「データセンターを制するものはAIを制す」(2025年9月8日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。
著者プロフィール
湯川鶴章
AIスタートアップのエクサウィザーズ AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。17年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(15年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(07年)、『ネットは新聞を殺すのか』(03年)などがある。
【イベント情報】学研が挑む"真のDX"
学研グループは、DXを目的化するのではなく、現場と顧客にとって“本当に使われるデジタル”を出発点に教育価値のアップデートに挑戦しています。本講演では、現場で浮き彫りになった課題や、実際に行ってきた改善や仕組みづくり、そこで得られた知見がどのように学研のDX推進を形づくんできたのかをお伝えします。既存のデジタル活用の成果と学びを振り返りながら、学研が目指す“真のDX”の姿をご紹介します。
- 講演「学研が挑む"真のDX"──「本当に使われるデジタル」で目指す教育価値のバリューアップ」・イベント「ITmedia デジタル戦略EXPO 2026 冬」
- 2026年1月27日(火)〜2月25日(水)
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- 主催:ITmedia ビジネスオンライン
© エクサウィザーズ AI新聞
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