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「セゾンカードの成功」こそ敵だった? クレディセゾン社長が捨てた“波風の立たない意思決定”(1/3 ページ)

ダイバーシティに取り組む企業は増えている。だが、それを経営戦略として説明できる企業はどれほどあるだろうか。入山章栄教授とクレディセゾン経営陣の鼎談から、多様性が企業にもたらす効果を考える。

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【概要】クレディセゾンでは2019年より内製開発を武器としたDXを推進してきました。本年度からは「CSAX戦略」を掲げて全社員にChatGPT Enterpriseを配布。「全事業部、全社員の業務を、AIを前提に再設計」し、2019年からの累計で300万時間の業務削減を目指します。本セッションではCSAX戦略の全容と、パイロットプロジェクトで得られたROIや成果についてお話しします。

本稿は、2月12日にクレディセゾンが開催した「SAISON DE&Iフォーラム」内の講演「イノベーションと業績に多様性が欠かせない決定的な理由」を取材したもの。


 「社長が言うから」「SDGsだから」……。腹落ちしないまま大義名分で進めるダイバーシティ施策は、現場に混乱や疲弊をもたらしかねない。早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授は「ダイバーシティは経営学的に見て、企業にとって不可欠な『生存戦略』そのものだ」と断言する。

 “多様性”は経営にどのような影響をもたらすのか。入山教授とクレディセゾンの水野克己社長、CDO兼CTOの小野和俊取締役が語り合った。

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左から早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授、クレディセゾン 水野克己社長、クレディセゾンCDO兼CTOの小野和俊取締役(編集部撮影、以下同)

ダイバーシティがもたらす2つの効果

 「ダイバーシティ」をテーマに講演や執筆など、数々の発信を行ってきた入山教授。そんな同氏の下に、十数年前、名だたる大企業の“ダイバーシティ推進室長”たちが相談に押し寄せた。

 当時の安倍政権下で「女性活躍推進法」が成立し、ダイバーシティ経営に取り組むべく部署を作ったものの「具体的に何をすればいいのか……」と、多くの企業が路頭に迷っていた。

 「そもそも、御社は何のためにダイバーシティを推進するのですか?」

 そんな入山教授の問いに返ってきたのは「社長がやれと言うものですから」「法律で定められたので」といった回答だった。

 同氏によると、経営学的な視点から見ると、企業にとってダイバーシティが必要な理由は大きく2つある。

 その一つが、変化の激しい時代を生き抜くための「イノベーション」だ。企業を取り巻く市場の環境は変化している。揺れ動く国際情勢、少子高齢化による労働力の減少、消費者価値観の変容、そしてテクノロジーの急激な進化――。こうした変化が同時に押し寄せる現代において、企業には新しい価値を生み出すイノベーションが求められる。

 イノベーションは、天才のひらめきから生まれるわけではない。

 「新しいアイデアとは、常に『既存の知』と別の『既存の知』の『新しい組み合わせ』で生まれる」

 これは、経済学者ジョセフ・シュンペーターが指摘したイノベーションの本質だ。入山教授は、イノベーションの創出に悩む組織が直面する課題を次のように説明する。

 「特に、老舗の大手企業や中堅企業など、歴史の長い会社に起こりがちですが、日本は海外と比較すると新卒一括採用、終身雇用が多いので、同じ職場で同じ人たちと仕事をし続けるケースが多くあります。ここで起きるのが“同質化”です」(入山教授)

 同じようなバックグラウンドの人たちとだけ働き続けていれば「知」の組み合わせのパターンもいずれ底を突く。そこから脱却するには、自分から離れた「遠くの知」に触れる必要がある。これが「知の探索」だ。

 一方で、企業には収益を安定させるため、既存事業の磨き込み=「知の深化」も必要だ。経営には、この「探索」と「深化」をバランスよく両立させることが求められる。

 問題は、組織は放っておくと「深化」に偏る性質がある点だ。多様な人材が集うダイバーシティ経営は、この「深化への偏り」を是正し「探索」を促すことで、イノベーションを生み出す源泉になるという。経営学では、この「探索」と「深化」を同時に実現する状態を「両利きの経営」と呼ぶ。

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経営には「知の探索」と「知の深化」の双方が必要

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