食事補助の非課税枠「3500円→7500円」へ 42年ぶり改正を“実質賃上げ”に変えられるか:「総務」から会社を変える(1/3 ページ)
令和8年度税制改正大綱において、企業が従業員に提供する昼食代など食事補助の非課税限度額が、現行の月額3500円から7500円へと拡充される。1984年以来、実に42年間にわたって据え置かれてきた非課税限度額の拡充というニュースは、総務パーソンにとって単なる実務上の変更だけではない意味がある。
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令和8年度税制改正大綱において、企業が従業員に提供する昼食代など食事補助の非課税限度額が、現行の月額3500円から7500円へと拡充される。1984年以来、実に42年間にわたって据え置かれてきた非課税限度額の拡充というニュースは、総務パーソンにとって単なる実務上の変更だけではない意味がある。
これは、近年の急激な物価高騰に対する政府としての回答であり、同時に「企業の福利厚生を実質的な賃上げの手段として活用せよ」というメッセージでもある。つまり、国が「企業の福利厚生の在り方」に対して明確なアップデートを促しているシグナルとも受け取れるのだ。
今回は、この歴史的な転換点を機に、これまでの「横並び」な福利厚生から脱却し、次世代が求める福利厚生の在り方と、それをリードすべき総務の役割について、考えてみよう。
福利厚生は、もはや「インフラ」に?
これまでの日本の福利厚生は、良くも悪くも「横並び」の時代が長かった。高度経済成長期からバブル期にかけては、社宅や保養所、あるいは一律の家族手当といった「パッケージ型」のメニューが主流であり、企業間での差異はそれほど大きくなかった。社員の生活基盤を企業が丸ごと保障するという「互助会」的な面が強かったのだ。
しかし、2020年代に入り、その前提は崩れ去った。ライフスタイルの多様化、共働き世帯の増加、そして何よりリモートワークの浸透により「一律の施設提供」や「オフィスありきのサービス」だけでは、社員のニーズを充足できなくなっている。
今回の食事補助の拡充は、こうした旧来型の福利厚生から、より個人の生活実態に即した「生活防衛型・選択型」への移行を象徴する出来事といえるだろう。「あればうれしいプラスアルファ」だった福利厚生は、長引くインフレによって実質賃金が目減りする中、現在は「生活を支える切実なインフラ」としての側面が強まっている。
特にリモートワークと出社を組み合わせたハイブリッドワークの定着は、総務に大きな課題を突きつけている。オフィスの食堂を充実させても、在宅勤務の社員には恩恵が及ばない。在宅勤務時の光熱費や通信費といった新たな負担も生じており、総務が考えるべきは「場所の制約を超えた公平性」だ。
「オフィスに来る人だけが得をする」仕組みでは、組織内に分断が生じる。例えば、食事補助を一つとっても、食堂での提供だけでなく、電子マネーや食事カードによるデリバリー、外食利用のサポートなど、働く場所を問わずに享受できる仕組みへのアップデートが求められている。次世代の福利厚生に求められるのは、画一的なメニューの羅列ではなく、社員一人一人の「現在の困りごと」に寄り添う柔軟性である。
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