独居房はどう生まれ変わったのか 「星のや奈良監獄」ホテルの舞台裏を聞いた:インタビュー劇場(不定期公演)(2/5 ページ)
1908年に建てられた重要文化財「旧奈良監獄」が、ホテルに生まれ変わる。独居房をつなげた客室や改修の工夫など、その舞台裏を総支配人に聞いた。
独居房をつなげてみた
土肥: 1908年にどんな出来事があったのか。海外ではフォード・モーターが「T型フォード」を発売して、国内では青函連絡船の運航(青森〜函館間)が始まりました。「大量生産」「大衆化の始まり」といった時代の空気が高まる中で、旧奈良監獄が建てられました。
いまは閑静な住宅街の中にあって、クルマで走っていると、突如として巨大な赤レンガの建物が現れる。ちょっと異様な光景というか、怖い雰囲気も漂っているわけですが、この建物は2017年に重要文化財に指定されましたよね。
そして2026年、敷地内にホテル「星のや奈良監獄」がオープンする。「監獄=怖い」「近寄りがたい」といった印象がありますが、客室はどのようなレイアウトなのでしょうか?
掛川: 施設の中央に看守所があって、そこから5つの棟が放射状に伸びているんですよね。そのうちの4棟を客室にしました。各棟は2階建てで、1フロアに6室ずつ配置しました。つまり、合計で48室ですね。
建物は重要文化財ですので、こちらが自由に手を加えることはできません。国の担当者と何度も議論を重ねていく中で、客室をどうすればいいのかという課題がありました。独居房の広さは5平方メートルほどなので、そのままでは「快適さ」を感じられません。
では、どうすればいいのか。独居房をつなげれば、快適な空間を提供できるのではないか。このような発想から、現在のレイアウトを形にしていきました。
例えば、客室タイプ「The 10-Cell」では、独居房10房分をつなぎ合わせました。扉を開けると、昔の独房を思わせる狭い部屋があって、その左右に寝室、リビング、ダイニングなどが並んでいます。
土肥: 間取り図の一例を見ると、左にダイニングがあって、その奥に寝室がある。右にはリビングがあって、その奥に風呂とトイレがある。左が食と休息、右が団らんと水まわり。1日の過ごし方が、そのまま左右に分かれている印象ですね。
ただ、ここまで形にするには、苦労もあったのではないでしょうか。星野リゾートといえば、これまで民間オーナーから委託を受けて、宿泊施設を運営するケースが多かったですよね。しかし今回は、重要文化財である旧奈良監獄が対象で、国も関わっている。初めての取り組みということもあって、さまざまな調整が必要だったのではないでしょうか?
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