サーモンは偶然のヒットではなかった? 養殖の経済合理性:寿司ビジネス(1/3 ページ)
世界で定番となったサーモン寿司。その人気の背景には味や見た目だけでなく、養殖による安定供給や加工のしやすさなど、寿司ビジネスに適した生産構造があった。国産養殖の取り組みも広がり、今後も欠かせない存在であり続ける。
寿司ネタの中でも、世界的に最もポピュラーな存在となったのがサーモンです。
日本国内はもちろん、海外の寿司店でも、サーモンは定番中の定番として扱われています。なぜサーモンは、これほどまでに寿司ビジネスに欠かせない存在となったのでしょうか。その理由は、味や見た目だけでなく、「どのように生産されているか」にあります。
まず、そもそも「サーモン」とは何を指す言葉なのでしょうか。
実はサーモンという呼び名は、特定の一種の魚を指すものではありません。寿司ネタとして流通するサーモンには、アトランティックサーモンやトラウトサーモン、銀鮭など、いくつかの種類があり、それらの総称となっています。細かな分類や違いはありますが、ここでは「寿司ネタとしてサーモンの名で流通する魚」としてひとまとめに捉えておきます。
現在、世界で流通しているサーモンの多くは、ノルウェー産またはチリ産であり、全体の7〜8割を占めます。そして、そのほとんどが養殖によって生産されています。かつてはサケ・マス類といえば北海道のシロザケに代表される天然魚が主でしたが、現在のサーモン市場は、養殖を前提として成り立っています。安定した供給量を確保するためには、自然条件に左右されやすい天然魚だけでは限界があるためです。
サーモン養殖の基本的な流れは比較的シンプルです。まず採卵・受精・ふ化した稚魚を淡水で育て、その後、一定の大きさになった段階で海面の養殖場へ移します。そこでさらに成長させ、出荷サイズになったところで水揚げされます。どのくらいの大きさまで育てるかや、品種・環境ごとの育ち方の違いはありますが、この期間は6カ月〜1年、長くても2年で、他の養殖魚と比べても短い養殖期間で出荷できるのがサーモンの特徴です。
この過程で重要となるのが、品種、環境、エサの3つです。成長が早く、病気に強い品種が選ばれ、水温や水質が管理された環境で育てられます。さらに、エサの配合によって、脂の乗りや身質、色合いまで調整されます。養殖サーモンは、いわば「計算してつくられる魚」なのです。
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