コラム
AIは若者の武器か? データが示した“逆の答え”:集中連載「AIと人間の境界線」(2/3 ページ)
生成AIを最も使っているのは若手だが、生産性向上の恩恵を受けたのはシニアだった。航空事故の教訓と3000万件の分析データから、AI時代に再評価される「経験」の本当の価値を読み解く。
AIの誤りを見抜く目
なぜそうなるのか。神経科学者のデイヴィッド・マーマンは、加齢と認知機能の関係を包括的に整理した研究の中で、正常な加齢において処理速度やワーキングメモリは低下する、と指摘している。その一方、累積した経験知やドメイン知識は、高齢まで維持されると指摘した。
AIが代替するのは前者であり、後者ではない。AIはシニアの弱点を補い、シニアはAIの弱点を補う。では、職場では何が起きているか。
クレジットカード大手・クレディセゾンのCTO、小野和俊氏はこう語る。文章をAIに書かせる際、骨子のところは自分で考えないと、それっぽいけど「これじゃない」文章になる。プログラミングも同じで、確かに動作はするが、「これじゃない」という感覚がある。全体の骨組みは、いまでも人間が考えたほうがいい場合が多いという。AIの出力が「それっぽいが違う」と判定できるのは、何が正解かを知っている者だけだ。
同氏はこうも指摘する。ハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成する現象)のチェックは、やはり経験豊富なシニアが担うべきだという。AIの誤りを見抜く目は、経験によってしか磨かれない。
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