寿司ネタのグローバル主役 サーモンを動かす巨大産業:寿司ビジネス(2/2 ページ)
世界中で人気を集める寿司ネタ、サーモン。その安定供給の背景には、養殖技術の発展と国際物流、計画的な生産ビジネスがある。味だけでなく、巨大な産業構造が支える現代的ネタである。
では、金額的にはどうでしょう。グローバルインフォメーションの市場調査レポートによると寿司用以外も含むサーモン全体の市場規模は2024年に約607億米ドルと評価されています。
これは、1米ドル=150円とすると9兆円以上の規模となります。
話は変わり、寿司全体の市場規模はというと、寿司市場がどこまでを指すのかの線引きが曖昧であったり、さまざまな統計がある中で数字にもバラツキがあったりと、ここでハッキリとはいえないところがあります。
参考までに、市場調査会社・富士経済の調べで、2024年の国内回転寿司市場規模は8318億円とされているデータがあります。ただ、この数字は寿司ビジネス全体の一部にすぎません。
寿司には、回転寿司だけでなく、高級な寿司店や町寿司、持ち帰り寿司、さらにはデリバリーといった、さまざまな形態があります。厚生労働省の資料の中には、これらを合わせた国内の「すし店」の市場規模として、一般社団法人日本フードサービス協会の「外食産業市場規模推計」を引用し、2019年の時点で約1.5兆円とする記述が見られます。
なお、海外の市場規模調査に関しては、私が見たところ、それぞれにかなりバラツキがあったので、割愛することとします。
いずれにせよ、寿司ビジネスの市場規模は国内だけでも1兆円を超えてくるような大きなものであり、その中でサーモンは重要な位置を占めていることは間違いありません。
寿司ビジネスの視点で見ると、サーモンは味だけで語るネタではありません。安定供給、大量生産、国際物流、そして技術革新が支えるグローバル商品です。一貫の裏側には、海の養殖場から空輸ルートまで続く巨大な産業構造が広がっています。サーモンは、寿司が世界食になったことを最も分かりやすく示す存在なのです。
この記事は、『寿司ビジネス』(ながさき一生/クロスメディア・パブリッシング)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。
著者プロフィール:
ながさき 一生 1984年、新潟県糸魚川市にある「筒石」という漁村の漁師の家庭で生まれ育ち、家業を手伝いながら育つ。2007年に東京海洋大学を卒業後、築地市場の卸売企業に就職し、水産物流通の現場に携わる。その後、東京海洋大学大学院で魚のブランドや知的財産の研究を行い、2010年に修士課程を修了。
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