中小企業は「消去法」で50代を採用する 早期退職の前に知るべき現実(2/5 ページ)
大企業の早期退職募集の波が広がりを見せている。申し込みシニア社員も多いようだが、中小企業への転職は簡単ではない。構造的なギャップを解説する。
50代で「大企業→大企業」はほぼ不可能
では、大企業から大企業への転職は可能なのか。
これまでの筆者のシニア転職支援の経験上、50代でその転職に成功した人は100人に1人もいない。50代を手放している企業が、わざわざ他社の50代を迎え入れる理由がない。
可能性があるとすれば、グローバルなマネジメント経験やリスク管理、法務、経理といった高度な専門領域で、その人にしかない経験や知見を持つスペシャリストの場合である。そういったケースはまれに存在するが、肌感覚では200人に1人程度だろう。
つまり、早期退職後、ほとんどのシニア求職者は中小企業への転職を前提に動かざるを得ない。この「理解」が、全ての出発点となる。
「チームで100億売り上げ創出」は中小企業では評価されない
大企業で実績を重ねてきた自負がある人ほど、転職活動で落とし穴にはまる。例えば、職務経歴書に「100億円規模のプロジェクトを推進」と記載する人は少なくない。
だが「それは1人で全部やったのですか?」と聞くと、大抵は「契約書周りは法務部がやってくれて、営業は現場の人間が動いて、自分はプロジェクトを管理していた」と返ってくる。
厳しいようだが、それは1円も生み出していないのと同じである。
大企業で大きな成果を創出できたのは、優秀な人材、ブランドの看板、潤沢な資本力の全てを活用できたからだ。その環境が整っていない中小企業で同じ成果を出すことは難しい。
中小企業が求めているのは「チームで100億円を稼げる人」ではなく、「1人で1億円、2億円を稼いでくれる人」だ。この前提のずれが、大企業出身者と中小企業の間に横たわる最大の溝である。
もし本当に1人で100億円を生み出せるなら、外資系で年収10億円のオファーが来るし、自分で独立しているはずだ。大企業の看板があったから回っていた仕事であるという事実に、一刻も早く気付く必要がある。
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