ニュース
ソニーは、なぜレコードを捨てなかったのか 7年ぶり新プレーヤー投入の背景(4/5 ページ)
ソニーが7年ぶりにレコードプレーヤーの新製品を投入した。ストリーミングが主流の時代でも、なぜ同社はレコード事業を続けてきたのか。拡大するアナログ市場の実態や、若年層に広がる新しい音楽体験を担当者に聞いた。
「一過性のブームではない」と考える理由
アナログ回帰は、一過性のブームなのか。三浦さんはそうは考えていない。数年前に実施したユーザーインタビューで聞いた、とある若年層ユーザーの音楽の楽しみ方から確信を得たという。
テレビを消し、スマートフォンも手放し、音楽だけに集中する――。土曜の朝や就寝前の深夜に、自分だけの空間で音楽を楽しむ。「ながら聴き」ではなく、音楽と真剣に向き合う時間として位置付けるユーザーが多かったという。「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を上げるための儀式のようなものとして、音楽を楽しむ時間をつくっていた」(三浦さん)
アーティスト側も、LP盤には歌詞を手書きで記したり、写真集を封入したりと、デジタルでは届けられない体験を盛り込んでいる。ユーザーからは「アーティストの思いに直接触れられる」という声も寄せられており、モノとしてのレコードが持つ価値は、ストリーミングとは別の軸で広がりを見せている。
アナログ回帰の動きは、レコードに限った話ではない。例えば、カメラの分野でも富士フイルムの「チェキ」や「写ルンです」が若年層を中心に支持を広げ、長期的な成長を続けている。デジタル全盛だからこそ、手間をかけて楽しむ体験に価値を見いだす消費者が業界を問わず増えているようだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
えっ、CDプレーヤーが売れている? エスキュービズムの戦略が面白い
ポータブルタイプのCDプレーヤー市場が面白いことになっている。市場が縮小していくなかで、新興メーカーのエスキュービズムが発売したところ、ある層を中心に売れているのだ。「CDプレーヤーなんてオワコンでしょ」と言われているなかで、どういった人たちが購入しているのか。
殻を捨てた「ザク」が、20万個以上売れている秘密
バンダイが発売しているガシャポン「ザク」が売れている。機動戦士ガンダムシリーズに登場するザクの頭部を再現したものだが、最大の特徴はサイズ。カプセルよりも大きいこのアイテムはどのように開発したのか。担当者に聞いた。
CDも苦戦しているのに、なぜ中目黒のカセットテープ店は好調なのか
中目黒駅から徒歩10分ほどのところに、カセットテープ店があることをご存じだろうか。店名は「waltz」。CDの売り上げも減少しているのに、なぜカセットテープを扱っているのか。店主の角田太郎さんに聞いたところ……。
再生ボタンを押したのは誰か? 昭和のカセット「マクセル」が登場した理由
昭和100年の2025年、カセットテープ「UD-60A」が限定発売され即完売。ストリーミング全盛の時代に、あえて“スキマ”市場に挑んだ電響社の狙いとは──。
