壮大な"AIチキンレース"か ソフトバンクG株11%急落が示す「技術陳腐化」の足音(2/3 ページ)
1枚2万円したSDカードが、いまや100円でも売れない。この『記憶の暴落』は、AIの未来を予言しているのではないか。
「スターゲート」の挫折が示すもの
直接の引き金は、3月7日の一部報道だ。
ソフトバンクGがオラクル、オープンAIと共同で進めるAIインフラ投資計画「スターゲート」において、テキサス州アビリーンのデータセンター拡張計画が取りやめになったと伝わった。
当初1.2ギガワットの施設を最大2ギガワットまで拡張する構想だったが、資金調達を巡る協議が長引き、オープンAI側の需要予測にも変更が生じたことで交渉が決裂した。
スターゲートは2025年1月、トランプ大統領の就任直後に鳴り物入りで発表されたプロジェクトだ。
ソフトバンクG、オープンAI、オラクルなどが今後4年間で5000億ドル(約75兆円)を投じ、AI向けインフラを構築するという壮大な計画だった。
しかし、2025年半ばの時点で当初の投資規模が大幅に縮小されていたことがウォール・ストリート・ジャーナルの報道で明らかになっており、今回の拡張中止は、市場に「やはり」という受け止めと「ここまでか」という失望が入り混じった反応を引き起こした。
S&Pグローバル・レーティングは3月3日、オープンAIへの300億ドル(約4.8兆円)の追加出資を踏まえ、ソフトバンクGの格付け見通しを「ネガティブ」に変更している。
会計処理と事実上のGPU寿命の乖離
ここで改めて、冒頭のSDカードの話に立ち返りたい。
半導体には逃れられない宿命がある。技術進歩のスピードが速く、世代交代のたびに旧世代の価値が急速に下がる構造だ。
GPUも例外ではない。エヌビディアは約12カ月ごとに新世代のGPUアーキテクチャを投入しており、各世代で演算性能は大幅に向上する。つまり、今日100億ドルをかけて調達したGPUクラスターは、2年後には性能面で「型落ち品」となる宿命を負っている。
問題は会計処理にある。ハイパースケーラー各社はAIサーバーの耐用年数を5〜6年に設定して減価償却を行っているが、一般的に陳腐化のサイクルは2〜3年といわれている。
つまり、会計上の耐用年数と事実上のGPU寿命のギャップが、将来の巨額減損リスクを静かに蓄積させている可能性があるわけだ。
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