【4月1日から】「130万円の壁」実質引き上げへ 間違いやすいポイントと企業がすべき3つの準備 社労士が解説(3/3 ページ)
厚生労働省は4月1日から、130万円の壁の要件を緩和すると発表しました。改正の詳しい内容、企業や労働者がどんな影響を受けるのかを社会保険労務士が解説します。
4月1日までに企業が行うべき3つのこと
特定適用事業所以外で、今回の改正の影響を受けるパートやアルバイトがいる企業は次の3点を行う必要があります。
(1)制度の告知
被扶養者認定の判断方法が変わったことを労働者に周知し、働き控えが起きないようにします。
(2)労働条件通知書の見直し
原則としてパートやアルバイト社員の給与は時給制となっていますが、労働条件通知書のみで収入が明確に分かるようにする必要があります。働く曜日と時間数が決まっていないシフト勤務で働く人も多いですが「シフトによる」などいう記載のみでなく、可能な限り労働日数や労働時間数を具体的に記載しなければなりません。
(3)被扶養者の異動届がないかを確認
制度の変更により、今までは扶養になっていなかった配偶者が扶養者になる可能性があります。そのため、条件に当てはまる労働者がいないかを確認しなければなりません。被扶養者になれば、今まで払っていた保険料を払う必要がなくなるので配偶者の手取りが増え、世帯年収のアップにつながります。
なお、(3)については特定適用事業者やパートやアルバイト社員がいない特定適用事業所以外でも必要となります。すなわち全ての企業が対象となります。
今回の要件緩和は、企業にとって人手不足解消につながるといったメリットがあります。パートやアルバイトを多く抱える企業は改正の内容を正しく理解し、早めの対策をとることをお勧めします。
企業は対応のコストや手間に着目しがちですが、勤務調整で一時的に対応するといった、これまでのその場しのぎの対応から、自社の従業員のケースに合わせた多様な働き方を設計し、人材を最大限活用できるチャンスととらえることもできるのではないでしょうか。
著者プロフィール
佐藤敦規(さとう あつのり)
社会保険労務士。中央大学文学部卒。50歳目前で社会保険労務士試験に挑戦し合格。三井住友海上あいおい生命保険を経て、現在では社会保険労務士として活動。法人企業の助成金の申請代行や賃金制度の作成に携わっている。 社会保険労務士としての活動以外にも、セミナー活動や、「週刊現代」「マネー現代」「プレジデント」などの週刊誌やウェブメディアの記事を執筆。 著書に、『45歳以上の「普通のサラリーマン」が何が起きても70歳まで稼ぎ続けられる方法』(日本能率協会マネジメントセンター)、『リスクゼロでかしこく得する 地味なお金の増やし方』『おじさんは、地味な資格で稼いでく。』(以上、クロスメディア・パブリッシング)などがある。
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