シリコンバレーはなぜ「ものづくり」を失ったのか 株主資本主義が壊したイノベーションの循環(1/3 ページ)
現代のシリコンバレーは、かつて「ものづくり」分野で世界最先端のイノベーションを起こしていた当時の姿からは程遠い。なぜ、このような状態になったのか?
この記事は『THE BEST WORK 「最高の仕事」を生きる』(原丈人著、サンマーク出版)の内容に一部編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
1990年代のシリコンバレーでは、理想的な「フィードバックループ」が起こっていた。
フィードバックループとは、製造と研究開発の間で知見を循環させて、成果がどんどん改善されていくことを指す。
例えば、当時のアップルやインテル・コーポレーションといったIT企業は、研究開発で製品化に近づけたものを、現地シリコンバレーで実際に製造できていた。このフィードバックループこそが、イノベーションには欠かせない循環なのである。
しかし、このループの輪が切れる出来事が起きてしまった。1997年にビジネス・ラウンドテーブル(米国主要企業のCEOで構成される財界団体)が「コーポレート・ガバナンスに関する声明」の中で「会社は株主のもの」という宣言を出して以降、株価や時価総額が極めて重要視されるようになったのである。
そこで重視される指標はROE(自己資本利益率)だが、製造業のROEは一般的に低くなる。そのため、製造業への投資は評価されにくくなり、投資家からの関心も集まらなくなった。
このような状況下で、製造パートが次々に中国へと移転していき、シリコンバレーでは製品がほとんど作れなくなってしまった。製造ができなくなった副産物として、UberやAmazonといったソリューションビジネスも生まれたが、「ものづくり」分野で世界最先端のイノベーションを起こしていたシリコンバレーの姿は、いまや見る影もない。
© Sunmark Publishing,Inc.
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