「売上7割」の楽天市場から撤退、なぜ? 社員も大量離職…… それでも決めた“老舗家具店3代目”の狙い(1/6 ページ)
売り上げの7割を占めていた楽天市場から撤退――。売り上げ減と赤字を経験しながらも、実店舗を軸に黒字化へと転じた「攻めの撤退」の狙いを聞いた。
「撤退」の論理
リソースが限られる中小企業にとって、過去の投資や慣習に縛られた「やめられない」状態は致命傷になる。本特集では「何を捨て、何を守ったか」の実例を取材。地方企業のリアルな決断事例から、成果を最大化させるための「攻めの撤退」をひも解く。
創業96年の老舗家具店マルキン(大阪市浪速区)は2024年4月、売り上げの約7割を占めていたECモール「楽天市場」から撤退した。
同社は現在、空間づくりを重視したオリジナルブランド「SENSO de VITA」(センソデヴィータ)を立ち上げて再出発。店舗運営に注力し、国内の家具やタイから仕入れたインテリアなどを扱っている。
店舗は5階建てで、1フロア300平方メートルを超えるショールームを備える。約500点の家具を展示・販売しながら、来店客一人一人に向き合った接客に力を入れている。
マルキンはかつて、ECで大きく売り上げを伸ばしていた。その主力販路から撤退し、実店舗の運営に注力する――。その決断を下したのは、3代目社長の金谷光憲氏だ。
ECで売上拡大、年商5億円を達成も…
マルキンは1930年に現社長の祖父にあたる金谷米造氏が、建具店として創業した。当初は職人を雇って、欄間(らんま)などの建具(住宅の仕切りの装飾部分)を製造していた。やがて近所の人から頼まれて家具を作るようになり、次第に家具販売へと事業の軸を移していった。
金谷社長が入社したのは1996年。当時はバブル崩壊後の不況に加え、新社屋の借入金や固定資産税の増加も重なり、経営は厳しい状況にあった。
打開策として取り組んだのが、ネット販売だった。2002年に自社ECサイトを立ち上げ、2004年には楽天市場へ出店した。当時としては比較的早いタイミングでの参入だったという。
金谷社長は「ネットであれば、全国の不特定多数に販売できる。最初は自社サイトで始めたが、なかなか集客が難しく楽天に出店した」と振り返る。
売り上げは順調に伸びた。出店直後から1カ月の売り上げが100万円を超えた。当初は金谷社長とその妹の2人で運営していたこともあり、売り上げが月200万〜300万円ほどを超えるようになった頃には、業務が手いっぱいになっていたという。
その後は人員も増やし、楽天内の広告も活用。出店から1年ほどで1カ月の売り上げが1000万円を超えるようになった。
始めは比較的安価な家具を多く扱っていたところから、次第に高品質な家具を適正価格で販売する方針へと転換。ネットではまだ少なかった高品質家具の販売が功を奏し、売り上げが拡大した。2011年からは実店舗の改装も行い、より品質にこだわった商品を扱うようになった。
こうした取り組みの結果、2021年には年商5億円と過去最高を記録した。
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