Netflix→劇場公開で“興収10億円”突破 『超かぐや姫!』が生んだ新しいヒットの形(5/6 ページ)
オリジナルアニメ映画『超かぐや姫!』が、異例のヒットを記録。Netflix配信後、1週間限定の劇場上映も好評で延長され、累計興行収入は10億円を突破した。Netflixと映画館は互いに競合しないのか? 観客は配信で見れるのになぜ劇場を訪れるのか? アニメを中心に映像ビジネスに関する報道・研究を手掛けるジャーナリストの数土直志氏に話を聞いた。
上映期間の延長は「大胆な選択」
『超かぐや姫!』の1週間限定上映のヒットを受けて、期間を延長した判断について、数土氏は「Netflixにとっては、かなり大胆な選択だった」と分析する。限定上映による話題性をきっかけに配信へと視聴を誘導する方が、Netflixにとっては合理的な戦略とも言えるからだ。
一方で、制作側の事情もある。映画館での上映は、アニメの制作陣にとって大きな目標の一つであり、作品の評価や展開にも大きく関わる。
また、日本のアニメビジネスは映像単体にとどまらず、音楽やイベント、グッズ展開などと結びついている。そのため「配信限定」にすることで展開の幅が狭まることを懸念する声も少なくない。IPを活用した企業とのタイアップなどにおいても「映画として公開されている」「テレビで放映されている」といった分かりやすい形の方が、企画化されやすい側面もある。
こうした事情を踏まえ「Netflixも日本市場では柔軟な対応を取ってきた」と数土氏は見る。配信と劇場公開を組み合わせることで、作品の価値を最大化しつつ、日本のアニメ産業の慣習とも折り合いをつけてきた形だ。
今回のケースでは、劇場公開でのヒットが宣伝となり、その後の配信視聴にもつながる好循環が生まれている。配信と劇場が相互に送客し合う形で、結果的に双方にメリットがあったといえる。
実はNetflixの視聴ランキング上位では、独占配信作品よりもテレビ放送や他の配信サービスでも視聴可能な人気作が並ぶケースが多い。こうした中で、これまでオリジナル作品として大きなヒットを生み出すことは簡単ではなかった。
その点で『超かぐや姫!』の成功は大きな意味を持つ。長編アニメのオリジナル作品として、配信発でここまでの成果を上げた例は多くなく「作品次第では、Netflixオリジナルでも大きなヒットになり得る」という可能性を示した。
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