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観光業はなぜ稼げない? 低賃金・低生産性の構造を探る観光ビジネス(3/3 ページ)

大半の観光地は低賃金・低生産性に苦しむ。売上総利益の低さや労働集約型の構造、季節変動が重なり、従業員の賃金は上がりにくい状況が続いている現実を解説する。

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観光ビジネス』(内藤英賢/クロスメディア・パブリッシング)

 そうなると、鎌倉・ニセコ・箱根にならってインバウンドを呼び込んで、観光地の売り上げを上げて賃金を上昇させようというインセンティブが働くようになります。そのこと自体は悪いことではないのですが、考えるべき点が2点あることは最後に付け加えておきたいと思います。

 まずは、売り上げを伸ばすにはインバウンドのみが手段ではないという点。インバウンドに頼る一本足打法は大きな脆弱(ぜいじゃく)性を伴します。そして、売り上げを上げるには日本人客を増やすことも十分に手段になりうるのです。

 言葉は悪いですが、各地「右肩上がりの成長期」しか体験して来なかった観光地がほとんどですので、初めて「観光地を経営する」「観光地マーケティングする」ということが求められ、そのことがうまくいえば十分に日本人客を増やすことは可能です。

 第2に「売り上げは全てを癒す」と言われるように、売り上げが伸びてしまうと、他の努力を怠るようになる点です。売り上げの上昇とともに、低い生産性のもうひとつの要因となっている分母である労働投入量の改善も大事なポイントになります。

 分子である売上総利益(粗利)を増やし、分母である労働投入量を減らすことで、営業利益は最大化し、1人当たり賃金も最大化していくのです。

 そして、そのことを実現している事業者が前述した賞与100万円/年収1000万円を超えるスター観光人材を輩出できているのです。

 また、世の中には金・土・日+GWや夏休みの繁忙期だけ営業している週休4日旅館なんてのも存在しています。

内藤英賢(ないとう・ひでさと):

合同会社Local Story代表

 早稲田大学政治経済学部卒業後、三菱UFJ銀行に入行。退職して、吉本興業の養成所(NSC)を経て約3年半芸人として活動。その後、観光業界へ転身し、株式会社アビリブに入社。株式会社プライムコンセプトの創業にも参画し、取締役副社長COOなどを歴任。宿泊施設や観光地のマーケティング・ブランディングを中心に300以上のプロジェクトを手がける。現在は地域活性化やDMO支援、講演活動など幅広く活躍している。


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