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観光業はなぜ稼げない? 低賃金・低生産性の構造を探る観光ビジネス(2/3 ページ)

大半の観光地は低賃金・低生産性に苦しむ。売上総利益の低さや労働集約型の構造、季節変動が重なり、従業員の賃金は上がりにくい状況が続いている現実を解説する。

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(2)労働集約型ビジネスである点

 宿泊業はサービス業と言われるように人によるサービスがメインとなるビジネスです。フロント、料理ホールスタッフ、調理人、清掃スタッフなど、人手が不可欠な構造なので、そもそも少ない売り上げを多くの人員で分配せざるを得なく、結果的に1人当たりの賃金は低くならざるを得ません。

(3)季節変動が激しい

 特に地方においてはオンシーズン/オフシーズンがはっきりしており、海辺のリゾートは夏は稼ぎ時ですが、冬季は閑散期となり、スノーリゾートは冬は稼ぎ時ですが、それ以外のシーズンは閑散期となります。

 こうなると、売り上げも安定しない上に、年間で人を抱えにくくなるためにオンシーズンだけスポットで人を採用するという雇用体系になりやすく、非正規雇用の割合が増えることになります。


観光業に就く人の賃金が上がりにくい理由(出典:ゲッティイメージズ)

 このこともまた観光業に就く人の賃金が上がりにくい理由となっています。

 産業構造に加えて、長らく続いた日本のデフレ社会の影響もあり、観光業は低生産/低賃金のまま推移することとなってしまいました。

 しかし、この事態を突破する兆しが先ほどの「観光地」×「インバウンド」です。インバウンド客が増えることは低生産の素となっている「売上総利益の増加」につながりますので、必然的に1人当たりの賃金の増加にもつながります。

 また、賃金アップのもうひとつの大きな要因が、人手不足でもあります。仮に売上総利益が上がったとしても、人手不足でなければ、季節変動と曜日変動の激しい売上構造のため、賃金を上げるという意思決定を経営者はしにくいものです。

 しかしながら、ここにきて深刻な人手不足に陥り、「賃金を上げないと人手が確保できない」という事態になったため、賃金を上げざるを得ないという時代に突入したことが大きいと考えられます。

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