66.6億円の大赤字から4年で最高益へ 「ぴあ」は何を変えたのか?(2/4 ページ)
コロナ禍の2022年度に「66億円」もの赤字を計上した、ぴあだったが、そこから逆転し、4年で最高益を記録する。同社のV字回復の要因を解説する。
コロナ禍で66億円赤字の衝撃
そのぴあを襲ったのが、新型コロナウイルス感染拡大による市場の大幅な縮小です。2020年3月期は通期では黒字を確保したものの、売上高は1632億400万円、営業利益は11億400万円、純利益は1億2100万円まで急減しました。
2019年度の大半は業績が堅調でした。しかし、2020年2月以降は、新型コロナウイルスの感染拡大によるイベント自粛要請で状況が一変します。チケット販売は激減し、膨大な払い戻し対応も発生しました。特別損失の計上などにより、利益は前年比大幅減となりましたが、何とか黒字は確保しています。
そして2020年度は多くの公演が中止・延期となり、主力事業のチケット販売は激減しました。売上高は673億5500万円、営業損失62億3100万円、経常損失60億800万円、親会社株主に帰属する当期純損失66億6400万円を計上しています。
コロナ収束により黒字回復
2021年度も、まだコロナ禍の影響下にありました。しかしながら、2021年秋以降は経済活動の回復により、底打ち感が見え始めた年でもありました。
ぴあアリーナMMの稼働率の上昇や、東京2020オリンピック・パラリンピックにおける一連のチケッティングサービスの受託業務の終了に伴う各種費用の精算が完了したことなどにより、収益の改善が見られました。
第3四半期連結会計期間単独では、2019年度第2四半期以来、2年近くぶりに営業損益・経常損益・親会社株主に帰属する四半期純損益の全てにおいて黒字化を達成しています。
2021年度(2022年3月期)から収益認識会計基準(※)が適用され、売上高は従来の総額表示から純額表示へ変わりました。そのため、売上高は258億2900万円となっていますが、旧基準換算での取扱高ベースでは1218億6500万円にまで回復しています(対前年同期比180.9%)。営業損失8億3300万円、純損失11億2200万円と赤字ではあるものの、前期に比べれば大幅に改善しました。
(※)「収益認識に関する会計基準」とは、売上を計上するタイミングの見直しを指します。特にぴあのような「代理人取引」では、売上高の認識が以前と大きく異なるので、単純比較ができなくなります。具体的には、9000円のチケットに、手数料1000円上乗せして販売した場合、従来であれば、売上高は1万円(チケット代+手数料)でした。しかし、新しい会計基準における売上高は、手数料の1000円を売上高として計上します。そのため、売上高は低く表示されます。しかし、粗利への影響は小さいため、営業利益については、単純に前期と比較しても問題ないといえるでしょう。
そして2022年度(2023年3月期)には、コロナ禍の収束に伴い復調。特に下半期は、エンタメ活動への反動消費もあり、音楽公演の全国ツアーや大規模フェス、プロスポーツの国際大会などの大型案件が続々と開催されました(参照:ぴあ「決算補足説明資料」)。
その結果、売上高327億6300万円(旧基準での取扱高ベースでは2000億円規模)、営業利益8億2000万円、純利益14億1500万円で黒字転換に至りました。創業50周年という節目の年であり、長引いたコロナ禍のトンネルを抜け、3期ぶりの黒字化と過去最高の純利益を達成するなど、劇的な復活の1年となりました。
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