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巨大テックのAI開発を停滞させない レゾナックが証明した「後工程」という日本の武器AI革命、日本企業の勝ち筋(2/3 ページ)

生成AIの普及により、AI半導体の需要が急拡大している。その競争力を左右するのはチップそのものだけではない。複雑化する構造を支える「後工程」材料の重要性が高まっている。こうした中、レゾナック・ホールディングスは共創を軸にした開発体制を構築し、存在感を高めている。その戦略の背景と、日本企業の勝機を探る。

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AIブームが後押しした事業転換

 AIブームは同社の経営戦略の方向性を裏付ける結果にもなった。

 同社では以前から、半導体電子材料を成長領域として強化する方針を打ち出しており、事業ポートフォリオの見直しを進めてきた。非注力領域の事業売却や撤退を進める一方で、半導体材料分野に人材や資源を注力させている。

 社内には、自身がこれまで携わってきた事業が縮小・撤退となる社員も存在するため「なぜこの事業に力を入れるのか」という疑問も寄せられた。これらの声に対し、タウンホールミーティングなどで経営陣が拠点を回り、説明と会話を重ねてきた。AI需要の拡大は、社内からの理解を得る後押しとなったという。

 実際に、AI半導体向けのパッケージ材料は業績にも貢献している。

 同社は利益率の指標としてEBITDAを重視しているが、2025年は半導体・電子材料のEBITDAマージンが前期比30.2%と高い収益性を記録し、全社の利益率の底上げに貢献した。2026年連結業績予想でも、AI半導体向け材料の売り上げは2025年比で50%超の成長を見込んでいる。

 生成AIの成長は今後も続くと真岡CSOはみる。

 現在、多くの人が使う生成AIはテキストチャットが中心だ。これはインターネットの歴史に例えるなら、電話回線を利用していた「ダイヤルアップの時代」だという。今後、多くの人が画像や動画、3Dデータなどを生成AIで扱うようになれば、必要な情報量は増えていく。

 「AI半導体の需要はまだまだ拡大していく可能性が高いとみています。そのため、半導体電子材料、中でもAI半導体に向けた材料への投資を進めていく考えです」

「後工程」が日本の勝機、その理由は?

 AI開発の主導権を握っているのは“ハイパースケーラー”と呼ばれる米国の大手プラットフォーマーが中心だ。真岡CSOは同社が取り組む「後工程」にこそ、日本企業にとっての勝機があると話す。

 「歴史的に米国はパッケージ領域には強くありませんでした。従来は、半導体の構造がシンプルだったので、それでも問題はなかった。しかし、現在の複雑な構造に対応するには、付け焼き刃ではもちろん難しいですし、1社で簡単に対応できるものでもありません。現在のパッケージは、各社が懇切丁寧に“すり合わせ”をしていかなければ対応できないのです」

 細かくすり合わせをしながら協力できるのは、日本企業の強み。この付加価値は世界からも高く評価されているという。だからこそ、同社ではJOINT3をはじめとする、他社との共創が今後ますます重要になるとみている。

 こうした共創を支えるため、同社では社内で「共創型人材」の育成にも力を入れている。管理職層を中心に研修を実施し、相手の意見を引き出す傾聴力や、議論を円滑に進めるファシリテーション力などを養っている。

 さらに、社内に共創意識を浸透させる取り組みの一環として、共創プロジェクトの成果を発表するイベント「グローバルアワード AHA!」を開催している。社内のさまざまな共創プロジェクトがエントリーし、地域予選など複数のラウンドを勝ち抜いたチームが最終発表に進む。異なる事業部門の技術を組み合わせた新しいアイデアが生まれることもあり、こうした取り組みを通じて、同社は社内外の共創を支える人材を育成している。

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3月6日に開催した「AHA! Meeting 2025」の様子。受賞者を表彰し、活動内容が社内に共有された(提供:レゾナック・ホールディングス)

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