連載
LINEを避ける人たちは何を使うのか “安全神話”Signalの実力と盲点:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
スマホのメッセージングアプリで、安全性を売りにしているのが米国発のSignalだ。強力な暗号化によってセキュリティを高めているが、サイバー攻撃の標的にもなっている。ビジネスでもチャットアプリの利用が増えており、セキュリティ意識を高めるべきだ。
Signalを狙った大規模なサイバー攻撃
最近、そんな定評のあるSignalがサイバー攻撃にさらされている、と報じられて世界に衝撃が走った。
3月9日、オランダの情報機関である総合情報保安局(AIVD)が「Signalを使った世界規模のサイバー工作キャンペーンが展開されている」と明らかにした。AIVDは、世界のスパイ機関の中でも一目置かれており、特にハッキングなどで高い技術を有するスパイたちを数多く抱える組織として知られている。
AIVDによれば、ロシアの国家支援を受けている政府系ハッカーが、先進国の要人や軍関係者、公務員が使用するSignalのアカウントへのアクセスを狙う大規模な攻撃を強化していたという。
その手口も明らかになっている。例えば、Signalの公式サポートを装い、「不審な活動やデータ漏えいの可能性を警告」というメッセージを送ってくる。そして、SMS認証コードやSignalのPINコードの入力を要求。ユーザーがコードを入力すると、攻撃者はアカウントの全権限を掌握し、それ以降のすべてのやりとりが閲覧可能になる。
さらに、グループへの招待を装った悪意のあるQRコードを送りつけ、被害者の知らないうちに、攻撃者のデバイスを被害者のアカウントにひも付けるケースもある。被害者は異変に気付かないが、攻撃者は乗っ取った相手の会話をリアルタイムで盗み見ることができる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
アサヒ、アスクルに続き、ジャガー・ランドローバーで何が起きた? 止まらないサイバー攻撃
大手企業へのランサムウェア攻撃が続いているが、英国ではジャガー・ランドローバーが被害を受け、英国経済に大きな打撃となった。犯行声明を出したグループの主犯格は10代の若者だという。被害企業の教訓を学び、対策を強化していく必要がある。
日本人の給与は依然として安すぎる? 頭脳流出で国の未来は、本当に大丈夫か
賃上げが経済政策として進められているが、世界の先進国と比べると日本の給料は安い。特にエンジニアなどの高度人材では差が大きく、海外企業から「安い労働力」を求められる事態だ。人材の流出を止めるため、“安すぎる”状態から脱する必要がある。
BYDの“軽”が日本に上陸 エコカー補助金の陰に潜む“監視リスク”
中国のEVメーカー、BYDが日本の軽自動車市場に参入すると発表した。中国製のEVを巡っては、欧米でセキュリティの懸念が指摘されている。多くの情報を収集するEVは、スパイ活動にも活用できると見られており、日本でも警戒が必要だ。
「謎」が多い楽天のメッセージングアプリ LINEに代わる存在になるのか、本部を直撃した
日本で欠かせないメッセージングアプリはLINEだが、世界では、日本の楽天が提供する「Rakuten Viber」の利用者が多い。日本ではなじみがないが、さまざまな機能を持つスーパーアプリとして使われている国もある。どのようなアプリなのか、運営企業に聞いた。
「LINEのセキュリティ」は大問題 TikTokと同じ道をたどるのか
生活に欠かせないLINEを巡って、セキュリティの問題が指摘されている。2023年11月、日本人を含むユーザーの個人情報漏洩事件が発覚。これまでもセキュリティ意識の低さが問題を引き起こしてきた。日韓の企業が出資するLINEに、政府が資本の見直しを求める動きもある。
