映画料金「2000円」の時代に、なぜ動員数は増える? ヒット作に見る、新たな傾向(1/3 ページ)
2025年に映画館に足を運んだ人数が1億8000人を突破した。映画料金が2000円と高騰する中で、なぜ動員数が増えているのか?
日本映画連盟の発表(PDF)によると、2025年の映画の興行収入は2744億円と歴代最高を記録した。入場者数は1億8875万人で前年比133%となり、今年は2億人超えを期待する声もある。
その一方で、映画産業を取り巻く環境は年々シビアになってきている。インフレによるコスト高騰を背景とした鑑賞料金の値上げや、定額制動画配信サービスの影響もあり、映画は「高級な娯楽になった」「嗜(し)好品化している」といった声を耳にする機会も増えた。
そのような状況下にあっても、観客動員数が好調な背景には何があるのか。昨年のヒット作から見えてきた新たな傾向を探ってみたい。
『国宝』と『チェンソーマン』ヒットの裏に共通点
昨年は『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(399億円)、『国宝』(203.1億円)のメガヒットを筆頭に、『名探偵コナン 隻眼の残像』(147.4億円)、『チェンソーマン レゼ篇』(107.4億円)と、上位4作品が興行収入100億円に到達した。
邦高洋低(洋画より邦画の興収や人気が高い状態)の傾向は依然としてあるものの、洋画からは昨年末公開の『ズートピア2』(152.4億円、区分上は2026年度)も好調で、『アナと雪の女王』(2014年)以来の150億円超えを記録した。
注目すべきは、すでに実績のあるシリーズ作品が上位に並ぶ中、サプライズヒットを成し遂げた『国宝』と『チェンソーマン レゼ篇』だ。両作品の動員には、ある共通点がある。
『国宝』の初週の動員ランキングは3位と振るわなかったが、口コミで火がつき、週ごとに興収を伸ばした。興行は一般的に公開直後の週末がピークとされるが、本作の場合は5週目が頂点で、その後も勢いを落とさず33週目にはランキング2位に返り咲くなど異例な動きを見せた。
一方、出だしから7週連続で1位と好調だった『チェンソーマン』も、公開3週目で動員・興収ともに前週比110%以上となり、右肩上がりに推移。
米津玄師さん、宇多田ヒカルさんによる主題歌のグローバルヒットや、ヒロインのレゼが躍るショートアニメ動画「レゼダンス」の流行などもありじわじわと客層を広げ、公開から103日間(2025年9月19日〜12月30日)で興収100億円の大台を突破。こちらも息の長いヒットとなった。
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