インタビュー
年間470万個を売った「峠の釜めし」 売上95%減の危機をどう乗り越えたのか(2/5 ページ)
創業140年の老舗・荻野屋が開発した「峠の釜めし」はピーク時には年間470万個も売れた。しかし、観光需要が大きかったがゆえに時には売り上げが95%減となった月も存在した。どのように危機を乗り越えてきたのか、取材した。
最盛期の「峠の釜めし」 年間生産は470万個に
転機の一つとなったのが、1998年の長野冬季五輪だ。前年の1997年には長野新幹線(現・北陸新幹線)が開通し、信越本線の横川〜軽井沢間が廃止された。
それまで横川駅は信越本線の途中駅で、碓氷峠(うすいとうげ、標高956メートルの難所)を越える列車のために整備時間が設けられていた。停車時間が比較的長かったことから、ホームで駅弁を販売し、乗客は列車内でそれを食べるその慣習によって、「峠の釜めし」は飛ぶように売れた。当時の生産数は1日最大3万5000個、年間では470万個に上った。
しかし信越本線の横川〜軽井沢間が廃止されると、横川駅は特急も止まらない終着駅となり、「列車内で駅弁を食べる」という需要が激減した。
さらに日本全体で車の普及が進み、観光客の移動手段は鉄道から自家用車へと移行していった。荻野屋も早くからその変化を見据え、1962年には国道18号沿いにドライブイン(現・横川店)を開店している。
長野五輪を控えて上信越自動車道が整備されると、当時の経営陣は横川サービスエリアへの出店やセントラルキッチンの整備など、立て続けに大型投資を進めていった。
「当時はまだ投資回収や利益管理という発想が薄かったのだと思います。売り上げ拡大を最優先に、勢いに任せて進んでいました」
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