コロナ禍で売上4割減からV字回復 「ミンティア」を261億円の過去最高売上に押し上げた戦略(4/4 ページ)
コロナ禍で売上4割減となったミンティアだが、2025年にはV字回復。過去最高の売り上げを達成した。どのような施策で回復させたのか、アサヒグループ食品を取材した。
グミやガム、飴に対する思いは?
ところで、口に入れてリフレッシュする菓子には「グミ」もあれば「ガム」や「飴」もある。2021年にはグミ市場がガム市場を逆転したことがニュースになった。
インテージSRI+の調査によると、2024年時点で市場規模1236億円の飴(ハードキャンディー)を同1138億円のグミが猛追している。一方で、ガムは同500億〜600億円と、2004年のピーク時(約1800億円)から3分の1レベルにまで落ち込んでいる。
ミンティアが該当する、錠菓・清涼菓子の市場規模は2024年時点で619億円となっており、ガムに迫る勢いだ。グミやガム、飴との差別化についても聞いてみた。
「それぞれ持ち味がありますが、手軽さでは『ミンティア』が上回ると考えています。“手軽さ”にはさまざまな意味があり、『いつでも、どこでも』『すぐに食べられる』『価格も手頃』などです。100円強で買えるレギュラーは50粒入りでコスパもよい商品です」
ちなみに錠菓の競合ブランド「フリスク」に対しては、「意識するというよりは、一緒に切磋琢磨して錠菓市場に関心を持っていただくようにしたい」とのことだった。
近年の喫食シーンで多いのが「ながら食べ」。特に「スマホをいじりながら」何かを食べる消費者が多い。グミは形状の多彩さや噛み心地の広がりもあり、錠菓と同様にながら食べに向く商品といえる。
苦戦が続くガムは、喫食時の手間の多さ(最後に口から出すのが面倒、噛んだ後はゴミになる)も敬遠されてしまう。現代の消費者は「めんどくさい」を嫌う傾向にある。
グミの得意分野に挑みつつ差別化
かつて錠菓は「口臭ケア」など、ガムからの乗り換え需要で成長した。「ミンティア」はそれに加えて新たな喫食習慣の創出を目指している。
「3月2日、まるでフルーツシリーズとして、レギュラーで『まるで芳醇ピーチ』と『まるで熟パイン』を発売しました。それぞれ、まるごと白桃パウダーと完熟パインパウダーを使用しており甘味と酸味が感じられる味わいです」
今後の競合を絞ると、果実感も得意な「グミ」、特にハードグミだろう。手が汚れず、作業をしながらさっと食べるという共通点もある。グミの場合はそれに加えて小腹を満たせる側面もある。
少し歴史の話をすると、口に入れる食品でリフレッシュをする「口内気分転換」は昔からあった。例えば高度成長期には「クッピーラムネ」(カクダイ製菓、発売は1963年)、「ジューC」(カバヤ食品、同1965年)などが人気を呼んだ。一定以上の年齢の方は子ども時代に食べた経験を持つ人もいるだろう。
「ミンティアのいいところは、こうした商品の価値も押さえているところです。ただ、喫食シーンで異なるのは、ミンティアが登場するタイミングは仕事中や勉強中が多いこと。社内でも『ミンティアはオンタイムだよね』と話しています」
オンタイムの喫食は集中力を切らさないよう瞬間効果も求められる。タイパ時代にも合う「ミンティア」は、今後どこまで消費者の喫食習慣を取り込めるか。
著者紹介:高井 尚之(たかい・なおゆき/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)
日本実業出版社の編集者、花王の情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、企業の経営者や現場担当者の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例・ブランド事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。
「20年続く人気カフェづくりの本 ―茨城・勝田の名店『サザコーヒー』に学ぶ」(プレジデント社)、「なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?」(同)、「カフェと日本人」(講談社現代新書)、「『解』は己の中にあり」(講談社)、「日本カフェ興亡記」(日本経済新聞出版社)など著書多数。 E-Mail: k2takai@ymail.ne.jp
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