同一労働同一賃金はこう変わる 企業がまずとるべき対策3選【10月施行】(3/3 ページ)
今年10月1日に、新しい同一労働同一賃金のガイドラインが施行予定です。改正のポイントや、企業がまずは優先してやるべき対応3つを、社会保険労務士が解説します。
企業が優先的に行うべき3つの対策
10月の施行に向けて全ての内容に対応できればよいですが、その余裕がない企業もあるでしょう。筆者は次の3点を優先的に対応するのがよいと考えています。
(1)非正規労働者への家族手当と住宅手当の支給検討
基本給や賞与と異なり、上記の手当は個人の業務遂行能力や成果と関係なく支給されています。非正規だからといって支給しないという理屈は通りにくくなります。
「それなら家族手当と住宅手当を廃止してしまえ」と考える経営者もいるかと思われます。ですが、正社員の待遇を不合理に下げることは望ましくないとされているので留意しましょう。
(2)定年再雇用社員の業務の見直し
昨今では、60歳の定年を過ぎても再雇用制度を利用し、契約社員などの非正規労働者として働き続けるのが一般的となっています。正社員の時点と比べて基本給は減額され、賞与もなしとされるなど給与が下がるのが一般的です。
この場合でも、定年前と比べて担当する業務や責任の程度が異なれば、問題ありません。ですが、変わらない場合は不合理な待遇差と判断される恐れがあります。
(3)待遇差についての説明をできるようにしておく
これまでは、一般の従業員が労働基準法の改正などの情報をがキャッチし、理解するのは困難でした。労働局やハローワークなどに置かれているパンフレットなどは、専門用語が多く、理解しづらかったからです。
しかし、AIツールに質問を投げれば、簡単に法改正の内容についてまとめてくれます。その結果、今後、非正規労働者から説明を求められるような機会が増えると予想されます。こうした状況に備え、業務体系の明確化や評価制度を整備する必要があります。
非正規労働者を正社員に転換する方法もある
正社員同様、長く働いている契約社員がいれば正社員に転換させるという解決策もあります。また、定年を60歳から65歳に引き上げることを検討するのもよいかもしれません。
どちらも実施すれば、人件費の高騰は避けられません。ですが、人材不足により採用コストは高くなる傾向がありますし、新しい人を採用しても教育コストが発生します。今まで長く働いてきた従業員に、今後も気持ちよく働き続けてもらった方が、企業にとっても労働者にとってもプラスではないでしょうか。
著者プロフィール
佐藤敦規(さとう あつのり)
社会保険労務士。中央大学文学部卒。50歳目前で社会保険労務士試験に挑戦し合格。三井住友海上あいおい生命保険を経て、現在では社会保険労務士として活動。法人企業の助成金の申請代行や賃金制度の作成に携わっている。 社会保険労務士としての活動以外にも、セミナー活動や、「週刊現代」「マネー現代」「プレジデント」などの週刊誌やウェブメディアの記事を執筆。 著書に、『45歳以上の「普通のサラリーマン」が何が起きても70歳まで稼ぎ続けられる方法』(日本能率協会マネジメントセンター)、『リスクゼロでかしこく得する 地味なお金の増やし方』『おじさんは、地味な資格で稼いでく。』(以上、クロスメディア・パブリッシング)などがある。
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