人手不足が強いる「余裕なき賃上げ」 過半数の企業が選んだ“防衛的”な生存戦略:名古屋商工会議所が調査
賃上げの流れが広がっている。名古屋商工会議所の調査では、約7割の企業が賃上げを実施する方針を示した。一方で、その多くは原資に制約を抱えたままの「防衛的な賃上げ」だ。人手不足とコスト上昇が同時に進む中、企業はどのような判断を迫られているのか。
名古屋商工会議所が1143社を対象に実施した調査によると、約7割の企業が賃上げを実施する方針だ。
深刻な人手不足を背景に、業績の先行きに不安を抱えながらも、人材流出を防ぐために賃上げに踏み切らざるを得ない企業の姿が浮き彫りになった。
7割が賃上げ しかしその中身は「余裕なき対応」
「賃上げを実施する予定がある」「実施する方向だが具体的内容は未定」と回答した企業は71.0%に上った。企業規模別に見ると、小規模事業者でも中小企業や大企業と大きく変わらない水準だった。企業規模を問わず賃上げの動きが広がっている。
一方、主な取引先が一般消費者の企業では、賃上げの実施見込みが54.3%と、全体に比べてやや低かった。名古屋商工会議所は「コスト上昇分を十分に価格へ反映できていないことが影響している可能性がある」とコメントしている。
また、賃上げを実施しない理由については「原資に余裕がない」(45.3%)、「業績の見通しに不安がある」(42.1%)といった回答が多く、企業の経営環境の厳しさもうかがえる。
賃上げを予定している企業のうち56.7%が「原資に制約がある中で賃上げを実施する」と回答した。多くが「防衛的な賃上げ」にとどまっている実態が明らかになった。
経営余力が十分でない中でも「防衛的な賃上げ」に踏み切る理由として「人材定着や採用強化のため」(76.8%)、「物価上昇による社員の生活負担への配慮」(70.5%)が上位を占めた。
調査は2月9〜27日にインターネットで実施し、従業員を雇用する1143社の回答を分析した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「誰かの給料を削って誰かに回す」はもうやめる 膨らみ続ける人件費を武器に変える「賃上げ」の考え方
多くの企業が賃上げに踏み切っている。しかし、その判断は本当に組織の競争力につながっているだろうか。初任給の高騰や賞与の給与化が進む中、いま求められているのは人件費の配分そのものを見直すことだ。賃上げをコストで終わらせるか、組織を強くする資本に変えるか。その分岐点に立っている。
「10年目なのに大手新卒の方が給与が高い」 春闘“歴史的な賃上げ”の裏であぶり出される「負け組企業」の特徴
2026年の賃上げ率は3年連続で5%超が視野に入ると報道されている。大手企業で進む歴史的な賃上げの裏で、中小企業は「勝ち組」と「負け組」で二極化しようとしている。
30代後半は「捨て駒」なのか? 新卒&シニアへの大盤振る舞いの陰で広がる「働き盛り」の絶望感の正体
今年の春闘では新卒初任給アップやシニアの待遇改善といった動きが目立ちました。そんな中、働き盛りであるダブル氷河期世代へは目は向けられていません。





