文具のコクヨ、化粧品メーカーも……イラン情勢なのに株価が上がった意外な企業の共通点(2/3 ページ)
文具と化粧品、安全保障に縁がなさそうなだけでなく原油高の影響も受けそうなこの2社がなぜ買われたのか。そこには、市場における銘柄選定の論理が透けて見える。
化粧品は“石油の塊”? それでも期待されるワケ
Aiロボティクスは3月30日に続伸。前週末27日の取引終了後に、福岡市の化粧品会社BJCを約257億円で完全子会社化すると発表したことが好材料視された格好だ。
化粧品の基剤の70〜90%は水・油・界面活性剤などで構成され、乳化剤、保湿剤、シリコン、容器のプラスチックに至るまで、石油化学製品のオンパレードである。WTIが100ドル前後で高止まりする局面で、化粧品会社の株が買われるのは一見すると矛盾している。
だが、化粧品の原価構造を知れば景色が変わる。口紅やファンデーションの原材料費は数円から数十円、化粧水に至ってはわずか数円になる場合もある。パッケージなどを含めた製造原価率は売価の10〜30%になるケースも多く、原材料費となればそのさらに一部にとどまるわけだ。
仮に石油由来原料のコストが50%跳ね上がっても、例えば3000円のスキンケア美容液の原価に与えるインパクトは数十円から高くても100円程度にとどまるケースが一般的だろう。
つまり化粧品は「原油の塊」でありながら、原油価格への感応度がほぼゼロという特徴的な利益構造を持っている。利益率を左右するのは原材料費ではなく、マーケティング効率だ。
Aiロボティクスは自社開発のAIマーケティングシステムでSNS広告の最適化やCPA(顧客獲得単価)の制御を行い、自社のスキンケアブランドを急拡大させてきた。
2026年3月期もQ3累計で売上高185億円(前年同期比76%増)、営業利益25億円(同51%増)と大幅な増収増益を記録している。
3月30日に発表されたBJC買収も同じ文脈で読める。同社は「soaddicted」や「SPICARE」といったブランドで知名度があり、まつ毛美容液の分野に強みを持つ。
市場は全体相場というよりも、Aiロボティクスの個別事情を素直に評価した。
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