「残クレアルファード」の裏側 ディーラーは“どこで何度も稼ぐ”のか:高根英幸 「クルマのミライ」(1/5 ページ)
自動車ディーラーでは、残価設定クレジットなどのサービスによって収益を確保している。新車販売だけでは収益が得にくくなったからだ。トヨタのサブスクサービス「KINTO」やカーシェアなど、クルマを使ってもらうビジネスもディーラーの収益に貢献している。
高根英幸 「クルマのミライ」:
自動車業界は電動化やカーボンニュートラル、新技術の進化、消費者ニーズの変化など、さまざまな課題に直面している。変化が激しい環境の中で、求められる戦略は何か。未来を切り開くには、どうすればいいのか。本連載では、自動車業界の未来を多角的に分析・解説していく。
いわゆる「残クレアルファード」として知られる残価設定クレジットは、頭金や月々の支払額を抑えながら高級なクルマに乗りたい、というユーザーの希望をかなえる販売手法だ。
だが、これはクルマを売りやすくする手段というだけではない。実はディーラーでは、ユーザーに残クレを利用してもらうことで、さらに利益を生む仕組みが構築されている。
トヨタのアルファードはリセールバリューの高さから、高い残価設定を可能とし、ユーザーは月々の支払額を抑えながら購入できる。もちろんディーラーは販売で利益を得るが、実はそれ以外にもさまざまな要素で収益をあげている(筆者撮影)
その一つがメンテナンスだ。残価を設定している以上、クルマのコンディションを管理する必要性が生じる。そのため、残クレの支払期間中は、法定点検や車検などをディーラーで受けることを義務付ける契約が多い。
ユーザーにしてみれば、ディーラーでしっかりメンテナンスしてもらった方が安心であるし、クルマの価値を維持しやすいというメリットがある。ディーラーもメンテナンス代が収益となるから、全てのクルマがディーラーで整備を受けるとは限らない通常の新車販売に比べ、より確実に利益を確保できる。
残価設定期間のメンテナンスをパック料金でローンに組み込むところも多い。これによって、ディーラーは格安車検などにユーザーを奪われるリスクも回避できるのだ。
しかも、残価設定クレジットでクルマを販売するメリットはこれだけではない。現在、さまざまなクルマの利用方法があるが、それだけ自動車ディーラーの収益構造が変化しているのだ。
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