「残クレアルファード」の裏側 ディーラーは“どこで何度も稼ぐ”のか:高根英幸 「クルマのミライ」(4/5 ページ)
自動車ディーラーでは、残価設定クレジットなどのサービスによって収益を確保している。新車販売だけでは収益が得にくくなったからだ。トヨタのサブスクサービス「KINTO」やカーシェアなど、クルマを使ってもらうビジネスもディーラーの収益に貢献している。
カーシェアもディーラーの収益に貢献
ディーラーはこうしたサブスク車両のメンテナンスを引き受けるだけでなく、契約終了時には中古車として販売して収益を得る、いわば二重取り(中古をさらに再リースした後に販売するなら三重だ)の収益構造を構築している。新車の登録台数を確保できる上に、多くのメリットがあるのだ。
長期保有するなら購入した方が割安・安心であるが、クルマの利用頻度が高くないドライバーにとって、駐車場代や税金、保険料などの維持費は負担が大きい。レンタカーは拠点が限られることから、借り出しや返却が面倒と感じることもある。
そのため、旅行目的以外の個人需要は少ない傾向にあったが、カーシェアの普及により、短時間の個人向けサービスも整備されてきた。レンタカーは最短レンタルが6時間で、燃料を満タンにして返却することが原則であるのに対し、カーシェアは15分単位で借りられるだけでなく、そのまま返却できる。しかも、無人のコインパーキングやディーラーなどで手軽に利用できるため、日常的に使いやすい。
これにより、クルマを所有しないドライバーでも運転する機会を増やせる。運転免許は取得したものの、クルマをあまり必要としない場合はペーパードライバーになってしまうことが多かったが、気軽に利用できるカーシェアが登場してからは、定期的に運転できる環境を整えやすくなった。
従来のレンタカー業者やコインパーキング業者の参入も多いが、それらもディーラーを介して購入した車両を利用している。これも自動車メーカーの登録台数に貢献するだけでなく、不特定多数のユーザーが利用することで車両のメンテナンス頻度が高まることも、ディーラーの収益へと結び付く。
利用客はクルマの便利さ、移動の楽しさを体験することで、クルマの購入を検討する機会にもなる。カーシェアは今や完全に普及し、クルマの手軽な利用法として定着しつつあるようだ。
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