2015年7月27日以前の記事
検索
コラム

ニトリHDの時価総額半減……「36期成長神話」が崩壊した、これだけの理由古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(2/4 ページ)

36期連続成長を成し遂げたニトリが、苦境に陥っている。その原因は、似鳥会長の相場観にあるのかもしれない……。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

「円高が来る」は、予言か願望か

 似鳥氏の「相場観」は、長らく日本の投資家にとって一種の信仰に近いものだった。同氏はテレビの正月特番で日経平均株価やドル円レートの予想を述べ、それがたびたび的中し、「経済予測の達人」と呼ばれてきたからである。

 TBSの経済バラエティー『がっちりマンデー!!』では、2015年から2017年にかけて日経平均の年末予想で3年連続「ニアピン賞」を獲得。その後も市場関係者が「似鳥さんが円高と言うなら円高だろう」と、似鳥氏の予測を信じる人も出るほどの影響力を持っていた。

 しかし、その「神通力」が失われつつある。そして皮肉なことに、会長の相場観への信頼の揺らぎが、株価そのものをむしばんでいる可能性すらあるのである。


商品の多くは海外で生産している(出典:ニトリの公式Webサイト)

 ニトリHDの業績は、為替と敏感に連動する。同社は商品の約9割以上を中国やベトナムなど海外で生産し、売り上げのほとんどは国内市場に依存する。仕入れは外貨建てであり、売り上げは円建て。つまり円安は仕入れコストの増加を招き、仕入れコストの増加が販売価格の上昇を招き、利益を数十億円単位で吹き飛ばす。

 似鳥会長は単なる道楽として為替予測をしているわけではない。同氏の見立て自体が「ニトリHDの業績がいつ回復するか」に直結しているからだ。そして、その“見立て”が近年は外れ続けている。

 2022年末、似鳥会長は2023年のドル円を「110円、悪くても120円」と予測した。しかし、実際には円安が加速し、一時150円台に突入した。2024年8月、「待ちに待った円高」と宣言し、「今年中に130円台後半、来年は120円台、ゆくゆくは110円台」と語った。その直後から円安に反転し、120円はおろか、130円台にすら届かなかった。

 2025年には、改めて「1ドル145円前後まで円高が進む」と予想。さらに、「米国不況で2026年に1ドル130円台になる」との持論を展開した。しかし、2026年4月現在、ドル円は依然160円前後で推移しており、「130円台」にはほど遠い。

 そのため投資家は、「似鳥会長は円高と言っているが、一向に円高とならない。そうなると、ニトリHDの業績予想の元となる想定為替レートや業績回復シナリオ自体の信ぴょう性も怪しい」と感じている可能性も高い。

 もちろん、株価半減の要因は為替の予測だけではなく、後述する国内市場の構造的な縮小や中国事業の苦戦も大きく影響している。

 しかし、株価が下落に転じたタイミングと、似鳥会長の為替予測が外れ出したタイミングは奇妙にも一致する。30倍もあったPERが15倍になった決定的なトリガーとして、業績の見立てにほころびが生じているという仮説には、一定の説得力がないだろうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る