「Amazon Go」全店閉店は失敗ではない 無人店舗の「誤算」と次の一手:石角友愛とめぐる、米国リテール最前線(1/4 ページ)
米Amazon.comの「Amazon Go」全店閉店のニュースは大きな話題になりました。果たしてこれは失敗なのでしょうか? 筆者は、Amazonはすでに「無人店舗」での学びを次に生かすフェーズにあると、考えています。
連載:石角友愛とめぐる、米国リテール最前線
小売業界に、デジタル・トランスフォーメーションの波が訪れている。本連載では、シリコンバレー在住の石角友愛(パロアルトインサイトCEO・AIビジネスデザイナー)が、米国のリテール業界の最前線の紹介を通し、時代の変化を先読みする。
米Amazon.com(以下、Amazon)は1月末、無人コンビニエンスストア「Amazon Go」の全店舗を閉店すると発表しました。
「閉店」という点だけを見るとネガティブに映るかもしれませんが、これは「単なる事業の失敗」ではないと筆者は考えています。なぜなら同社は今、無人店舗での学びを踏まえ、自社で店舗を展開するBtoC戦略から、既存の小売事業者にシステムを提供するBtoB戦略への方向転換を進めているからです。
今回はAmazon Go撤退の3つの要因の考察と、無人店舗事業におけるAmazonの現在の取り組みについて解説します。
Amazon Goとは
Amazon Goは、来店客が商品を手に取り、そのまま店を出るだけで決済が完了する「レジのない店舗」として登場しました。このUXを支えていたのが、カメラやセンサー、AIを組み合わせた「Just Walk Out」というシステムです。
店内の天井と商品棚に設置されたカメラやセンサーが来店客の動きを追跡し、自動で購入商品を精算します。レジ待ちというストレスをなくすこのシステムは、小売業における大きな革新として注目を集めました。
そして、この取り組みは単なる省人化や効率化を目指したものではなく、Amazonにとっては「小売×AI」の実証実験でもありました。実際の店舗運営を通じて、顧客の購買行動や店舗体験、技術の精度や限界を検証するPoC(Proof of Concept:新規事業やアイデアの実現可能性、その効果などを検証すること)という位置付けです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
なか卯の「床に置かれた食器」問題 企業の沈黙が呼ぶ“将来の波紋”
10月下旬、なか卯での「床に置かれた食器」の写真がSNSで拡散された。その後のなか卯の対応が適切だったようには感じない。では、どのような対応が求められるのか?
倒産寸前なのに年収100万円アップ 売上38億円のV字回復を実現した、山梨のプリント企業の「決断と狙い」
Tシャツなどのオリジナルプリントグッズの製作を展開するフォーカスは2020年のコロナ禍、倒産の危機に陥った。しかし現在はV字回復を果たし、売り上げは約38億円に上る。この5年間、どのような戦いがあったのか?
SNSでオモチャ化する「謝罪会見」 プルデンシャルは何を読み違えたのか
近年、謝罪会見がSNSでオモチャにされている様子をよく目にする。1月23日に実施された、プルデンシャルの謝罪会見も例外ではない。同社は何を読み間違え、SNSでオモチャとして扱われてしまったのか。
「落とし物DX」で売上15億円 競合だったJR東日本も導入した「find」はどんなサービスなのか
落とし物は誰にとっても身近なトラブルだが、その回収はアナログで非効率なままだった。そんな市場を15億円規模に成長させた「find」とはどんなサービスなのかというと……。
ローソンの車中泊は、単なる「場所貸し」ではない 見落とされがちな体験価値とは
ローソンが実施している「車中泊」サービス、これは単なる「空いている場所を貸す」というビジネスにはとどまらない価値がある。利用者はどのような「価値」を見いだしているのか。
