「Amazon Go」全店閉店は失敗ではない 無人店舗の「誤算」と次の一手:石角友愛とめぐる、米国リテール最前線(4/4 ページ)
米Amazon.comの「Amazon Go」全店閉店のニュースは大きな話題になりました。果たしてこれは失敗なのでしょうか? 筆者は、Amazonはすでに「無人店舗」での学びを次に生かすフェーズにあると、考えています。
他社の無人店舗ビジネスへの波及は?
最後に、Amazonが無人店舗事業から撤退したことの影響について見ていきましょう。今、無人店舗ビジネス全体として失速しているかというと、そうではないと筆者は考えています。
Amazonの結果から見えるのは「完全無人店舗を自社で展開するモデルの限界」と「技術提供へと軸足を移す」という新たな方向性です。つまり、無人店舗そのものの価値が否定されたわけではなく、ビジネスモデルの再設計が求められているのです。
この方向転換は、Amazonに限ったものではありません。むしろ、業界全体が同じ結論に収束しつつあります。
実際、無人店舗システム事業者の多くも、完全無人店舗を自ら展開するのではなく、既存の小売事業者に技術を提供するBtoBモデルへと軸足を移しています。AiFiやZippin、Trigo、Standard AIといった企業は、既存店舗にカメラやセンサー、AI解析システムを組み込み、レジレス体験を実現するビジネスを進めています。
まとめ
Amazon Goの全店舗閉店は「無人店舗事業の失敗」と単純に片付けられるものではありません。Amazonは自社での大規模展開という前提を見直し、より収益性と拡張性の高い領域へとピボットしたと見ることができます。
現在、Amazonは無人決済技術や購買データの活用ノウハウを基盤に、外部事業者へのBtoBソリューションを提供するとともに、ハイブリッド型店舗への実装も進めています。これからの無人店舗ビジネスはこうしたソリューション分野での競争が加速していくことが予想されるでしょう。
著者プロフィール:石角友愛(いしずみ・ともえ)
パロアルトインサイトCEO/AIビジネスデザイナー
2010年にハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した後、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
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