「新車」返金トラブルはなぜ起きるのか 整備工場ルートに広がる異変:高根英幸 「クルマのミライ」(2/4 ページ)
自動車ディーラー以外の販売店で、倒産によるトラブルに巻き込まれるケースが見られる。地域のユーザーに信頼されてきた整備工場や販売協力店は、経営環境が悪化している。変革期を迎える今、販売やサービスの在り方も見直す必要がある。
顧客に信頼される整備工場はディーラーの援軍
地方や郊外に住む人にとって、都市部のディーラーまで行かなければクルマの購入やメンテナンスができないのは、かなり面倒で時間も取られる。地方でもディーラーの店舗が増えてきたが、そもそもそれ以前から、整備工場でクルマを購入し、車検や修理まで依頼するのが当たり前で、クルマのことはすべてお任せという環境になっていた。
家電に関しても、昔は街の電器店にすべてお任せという家庭も多かった。だが、大型家電量販店の台頭やネット通販の普及、家電自体の使い捨て化によって需要が縮小し、店舗数がみるみる減ってしまった。
一方、クルマの場合は登録や車検、メンテナンスなどが欠かせないし、自動車保険やスタッドレスタイヤ、ボディのコーティングなど、購入後もいろいろと手間をかける必要がある。それぞれを専門店に依頼するクルマ好きもいるが、クルマを生活の道具として利用しているユーザーは、信頼できる整備工場に任せることが多い。
ディーラーでの商談や値引き交渉が苦手なユーザーは、整備工場に任せておけば、直接交渉するより好条件を引き出してくれるため、クルマを購入する際にも頼りになる存在だった。
自動車ディーラーのショールームは広くきれいで、新車購入をハレの場にする印象があるが、交渉下手なユーザーは雰囲気に押されて値引き交渉などがしにくい、ハードルが高いと感じることも。整備工場はそんなユーザーの味方でもある(写真:トヨタ)
整備工場側は、新車販売よりも点検整備や車検などのメンテナンスや自動車保険などで稼ぐ(といっても他店より高いのではなく、顧客を囲い込むための戦略だ)ことで、安定した収益を生むビジネスモデルを構築していた。
整備工場は長い時間をかけて顧客と信頼関係を築いてきたため、ディーラーは競合関係でもあるはずの整備工場(いわゆる販売協力店)を大切に扱ってきた。ディーラーにとっても、毎月ある程度の登録台数が見込める販売協力店は心強い存在なのである。
東京の下町でも、こうした整備工場が数多く存在したが、不動産価格上昇による再開発やディーラーの増加、後継者問題などでバブル期以降は大幅に減少。地方でも、都市部では整備工場が生き残るのは難しくなった。
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