コンビニで“1000円超のパスタ”は売れるのか? ローソンの4カ月の実証実験で見えてきたこと(4/4 ページ)
ローソンが1000円超のパスタを販売する実証実験を実施している。コンビニパスタの価格は高くても700円程度だが、高価格のパスタは売れるのか?
1000円超のパスタ、なぜこの価格なのか
価格についてはどうか。チャーハンは、基本の「たまごチャーハン」が538円と、従来のコンビニ商品とそこまで大きな差はないように思える。一方、パスタは「ブロッコリーのペペロンチーノ」(734円)、「たらこのクリームパスタ」(842円)から、「カルボナーラ」(1058円)、「アマトリチャーナ」(1274円)といった1000円の壁を超える商品も存在する。
コンビニ商品としては高価格帯だが、「出来たての一食」として考えれば、外食に近い水準ともいえる。デリバリーと比較した場合、配送料がかからない点も、価格面での優位性につながりそうだ。
鈴木氏は価格について以下のように説明する。
「廃棄リスクを考えると、コンビニで1000円を超える食品を販売することは難しいです。作り置きした商品が売れ残れば、原価が丸ごと損失になってしまいます。しかし、注文を受けてから調理するのであれば売れ残りによる廃棄が発生しにくい。廃棄を前提とした価格設計にする必要がない分、食材の質や仕上げの工程にこだわる余地が生まれ、外食に近い品質を実現しやすくなっています」
パスタメニューの導入からおよそ4カ月。検証により、課題も見えてきた。まずは待ち時間や注文経路の問題だ。
調理スタッフは基本的に1人。注文が入った時に厨房へ入り、それ以外は他の業務を兼務する。ロボットでの調理自体は1〜2分で完了するが、食材の準備や計量、盛り付けを含めると5分程度の待ち時間が発生する。注文が重なれば、利用客の待ち時間はさらに長くなる。
事前にQRコードから決済・注文すれば待ち時間はほぼないが、現状は近隣へのポスティングやチラシでQRコードを配布している段階のため、店頭端末での注文が依然多い。「帰りの電車の中で注文して、近所のローソンで受け取る」という導線整備が今後の鍵となる。
また「出来たてを武器にしているからこそ、店内で食べていただける環境を整えたい」(鈴木氏)と、今後の導入店舗ではイートイン席の併設を重視する方針を示す。将来的には都市部・郊外の両立地タイプへの展開も視野に入れており、どの立地でどういった商品のニーズが強いかを検証していく。
コンビニはこれまで「手軽さ」を武器に商品を展開してきた。今回の取り組みは「出来たて」と「品質」で外食需要を獲得しようとする動きだ。こうした出来たて志向の強化は、ローソンに限った動きではない。セブン-イレブンはカウンター商材を「Live-Meal」として再編し、店内で焼いたパンなどの商品に力を入れている。
コンビニの「出来たて」は、どこまで外食に迫れるのか。自動調理ロボという新たな手段を得たローソンが、今後どのように外食需要を取り込んでいくのか注目したい。
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