2015年7月27日以前の記事
検索
連載

出前館、株価97%下落……なぜこうなった “海外勢”押し寄せたフードデリバリー、激戦の決着は(2/3 ページ)

フードデリバリーは、出口が見えないコロナ禍に差した一筋の光明――次のプラットフォーム産業として期待されていた。それから5年あまりがたった今、何が起きているのか。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

コロナ特需という蜃気楼

 出前館の失速は、コロナ禍で膨張したフードデリバリー需要の反動そのものだ。

 会社が公表する2026年8月期計画は売上高441億円(前期比11%増)、最終赤字40億円(前年同期は49億7100万円の赤字)。赤字幅は縮小させるものの、達成しても8期連続赤字という見通しで、いまだに黒字化の見通しが立たない。

 第1四半期の実績はさらに厳しい。2026年8月期第一半期(2025年9〜11月)の売上高は89.89億円で前年同期比18.6%減、営業損失は16.81億円と、トップラインが2割近くも縮小している。

 物価高で消費者が外食・中食の支出を絞り、店頭価格より割高になりがちなフードデリバリーを敬遠した結果だ。また、大手フードチェーンが独自で割安な配達やモバイルオーダーサービスの構築に乗り出す動きもある。横だけでなく縦、つまりこれまで顧客だった飲食チェーンとも競合しつつある。

 市場が問題視しているのは規模ではなく、いわゆる「ユニットエコノミクス」、顧客当たりの採算性が改善する展望が見えないことだ。

 ユニットエコノミクスは顧客1人または1社を獲得・維持するためのコストと、そこから得られる収益のバランスを指す言葉だ。

 通常は売り上げを伸ばすか、コストカットすることで赤字を止めることを検討するのだが、出前館の場合は「どちらにせよ黒字にはならない」可能性がある。

椅子取りゲームが決着か

 もう一つ押さえておくべきことは、この5年で日本のフードデリバリー市場から競合が急速に消えた事実だ。

 コロナ禍のピーク時、日本国内で少なくとも7〜8社がしのぎを削っていたフードデリバリー市場だが、ドイツ発のfoodpandaは日本参入からわずか1年5カ月、2022年1月に撤退。中国発のDiDi Foodも2022年5月でサービスを終了した。

 国内発スタートアップのChompyは2023年5月にサービスを終了し、KDDIが2023年4月に子会社化したmenuも広告投下が鈍り、縮小均衡フェーズに入っているとみられている。

 直近ではフィンランド発のWoltも2026年3月4日をもって日本市場から撤退している。親会社のDoorDashは日本と同時にカタール、シンガポール、ウズベキスタンの4市場から撤退し、リソースを成長市場に集中すると発表した。

 Woltは配達品質・加盟店の質・UXで一部では根強いファンを抱えていたが、Uber Eatsと出前館の2大勢力を前に配送網が広がらず、デリバリー単体での採算が見通せなかった。

 興味深いのは、Wolt撤退発表を受けた2026年2月26日、出前館の株価が一時急騰したことだ。同業脱落は加盟店・配達員・ユーザーの受け皿という意味で明確なプラス材料である。

 ただし直後から株価は再び軟化しており、Woltの去った穴を埋めた程度では、本業の構造的な赤字を覆せないと市場が見ていることが分かる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る