「売上は伸びているのに、株価は半減」 伊藤園に起きた“5年の変化”(4/5 ページ)
伊藤園の株価が過去5年で半減しました。売り上げは堅調に右肩上がりを続けているのに、なぜなのでしょうか? 直近5年の業績を振り返りながら、株価下落の要因と今期の見通しを解説していきます。
アフターコロナ、コスト高の顕在化が株価に……
しかし、こうした高い評価は長くは続きませんでした。2022年4月期以降、株価水準は徐々に切り下がっていきます。
まず、コロナ禍で高まった在宅需要が、行動制限の緩和とともに一巡しました。リーフ製品など、家庭内需要に支えられていた売り上げは底堅く推移したものの、コロナ禍のような「特需」といえる環境は収束し、投資家の成長期待も徐々に後退していきました。
加えて、2022年以降は原材料高の影響が本格化します。茶葉に加え、ペットボトルや包装資材、エネルギー費、物流費など幅広いコストが上昇し、収益を圧迫しました。価格改定も進められましたが、販売競争の激化により販促費やリベートが増加し、値上げ効果が利益に十分反映されにくい状況が続きました。
さらに、2023年以降は「売り上げは伸びているが、利益が伸びにくい」という構図が鮮明になります。実際、売上高は増加を続けているものの、営業利益や最終利益は伸び悩み、2025年4月期には減益に転じました。こうした状況は、市場において「収益性が低下している」と評価されやすく、株価の上値を抑える要因となりました。
また見逃せないのが、自動販売機事業の採算悪化です。従来は安定した販売チャネルとされてきましたが、設置や補充、保守にかかるコスト上昇に加え、利用環境の変化も重なり、収益性が低下していきました。この問題は、2026年4月期における大きな経営判断にもつながっていきます。
これらの結果、2021年に見られた高い評価水準が徐々に剥がれ落ち、2025年4月時点の終値は3417円、PERは29.1倍、PBRは2.3倍となっています。
2022年4月期以降の株価下落は、単なる業績悪化というより、コロナ禍で膨らんだ期待の反動と、収益構造に対する市場評価の見直しが重なった結果といえるでしょう。
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