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「酒離れ」時代に生き残れ サントリー「翠ジン」好調も大幅テコ入れのワケ(3/3 ページ)

サントリーがジンの戦略説明会を開催し、今後の方針を発表した。翠ジンソーダ缶の刷新や、工場見学の開始など、新たな取り組みに込めた思いとは?

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現地調査を基にした商品設計でニーズを獲得

 値段に加え、「食中酒」としての立ち位置もより明確にする方針だ。数あるRTD飲料の中でも、翠ジンソーダ缶は爽やかで、「薬味」を意識した味わいが特徴である。食事との相性の良さを前面に打ち出しており、キーメッセージも「晩メシソーダ、翠ジンソーダ」に刷新した。


キーメッセージも刷新(サントリー提供)

 これに伴い、単一だった翠ジンソーダ缶のラインアップを「すっきり爽やか」と「本格濃いめ」の2種類に分けた。

 ラインアップを変更したのは、自社調査を通じて、食中酒に対する消費者のニーズが大きく2つあると分かったためだ。1つは「食事のお供として楽しみたい」というニーズ。もう1つは「酒自体をしっかり楽しみたい」というニーズだ。それぞれの声に応えるために、飲みやすさを重視した商品と、ジンらしい飲みごたえを重視した商品に分けた。


調査で分かった2つのニーズ(出典:サントリーの戦略発表会資料)

 開発にあたり、飲食店での実地調査も実施した。その中で、特に翠ジンソーダの売り上げが伸びている店舗ではレモンを絞って提供していたことから、新商品では香りを強化している。

5月から工場ツアーも開始

 ジンが国内外、そして若年層で支持を広げてきたことを受け、サントリーは生産能力の増強にも着手している。


工場見学も開始(サントリー提供)

 グループ内で唯一、国産ジンの原料酒を製造しているサントリー大阪工場に、2024〜2025年に55億円を投じて「スピリッツ・リキュール工房」を新設。蒸溜回数を倍増させ、機能性を高めることで、ジン原料酒の生産能力を2倍以上に引き上げた。

 また、2026年にかけて10億円を投じ、敷地内に原料となるボタニカルを植えたほか、蒸溜器を見られるデッキやセミナールームなども整備。5月から一般公開し、工場ツアーを開始した。ツアーは木曜日から日曜日、祝日に1日2回開催され、12月までに5000人の来場を目指す。


工場内部の様子(筆者撮影)

原料となる植物が植えられたエリアも(サントリー提供)

 ツアーでは、新設した設備やモノづくりの紹介に加え、ROKUを試飲しながら、ジンの楽しみ方も説明する。大阪はインバウンドが多く訪れる地域であり、中心地から工場へのアクセスも悪くない。ROKUが国際的な評価を受けていることから、訪日客のニーズも期待できそうだ。


試飲しながら説明を聞ける(サントリー提供)

 市場拡大を背景に、価格、商品設計、体験価値の3つの面からジンの接点を広げようとするサントリーの戦略。翠ジンソーダ缶の刷新と大阪工場の一般公開が、国内ジン市場のさらなる成長につながるか。今後の展開に注目したい。

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