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「日本は悠長すぎる」 スペック主義・韓国から見た日本企業の“不思議”とは?【連載】ニッポンを「職場」に選んだら(1/3 ページ)

日本で働く海外出身の人々にとって、日本企業や日本社会はどのように映っているのだろうか。日本の隣国・韓国における就職事情や人々の就労観について押さえておきたい。

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連載:ニッポンを「職場」に選んだら 海外出身者に聞く

 普段私たちが当たり前だと思っている仕事の進め方や職場の空気。でも、海を越えてやってきた同僚の目には、それがちょっと「不思議な光景」に映っている可能性も。日本で働く海外出身者の視点を通して、日本企業の「意外な横顔」をのぞき見ながら、これからの働き方について考えてみたい。


 日本で働く海外出身の人々にとって、日本企業や日本社会はどのように映っているのだろうか。

 日本人にとっては当たり前すぎて、普段あまり意識することのない企業文化が、海外出身者から見れば実は結構変わっていたり、海外企業にはない独自の強みであったりする可能性もある。

 日本で働く外国人の数は、2025年10月時点で過去最多の約257万人(※1)。職場でも暮らしの中でもすっかり身近な存在になった彼ら/彼女らの視点を通して、日本企業や日本社会の姿を明らかにしてみたい。

(※1)厚生労働省:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)

 連載の第1回に取り上げるのは、日本の隣国・韓国。経済や文化、さまざまな領域において、両国の結び付きは年々、強まっている。

 日本で働く韓国出身者に話を聞く前に、まずは韓国における就職事情や人々の就労観について押さえておきたい。2025年秋までの約5年半、マイナビグループの韓国現地法人「マイナビコリア」の代表理事社長として韓国に滞在し、現在はマイナビ岡山支社長を務める柳楽太郎さんに話を聞いた。

 「日本は悠長すぎる」──取材からは「スペック主義」が根付く韓国の人々から見た日本企業の“不思議”な習慣が明らかになった。

就職
マイナビコリア元代表理事社長で現在はマイナビ岡山支社長の柳楽太郎さん(本人提供)

「スペック重視」の韓国と「熱意重視」の日本

──韓国の就職事情で特徴的なポイントは?

 大きく3点あります。「大企業志向」、ソウル市での就職を目指す「インソウル志向」、そして「スペック主義」。特に就職市場においてはこの20年くらいこういった状況が続いています。

 スペックという言葉を日本の採用の現場で使うことはあまりなかったのですが、韓国の人々は、もう全員がスペックという言葉を使います。

──なぜスペックが重視されるのですか?

 背景として、1997年のアジア通貨危機があります。財政破綻の危機に陥った韓国では、その後長らく、景気の低迷が続きました。企業側は学生を選ぶことができて、学生側は選ばれる、という環境が長く続いてきたため、まずはスペックで絞り込むということが一般的になっています。

 一方で、日本は戦後長らく、新卒一括採用という雇用環境が続き、新入社員とはスペックで選ぶものではなく、熱意を重視し入社してから育てる、という環境が日本企業の習慣として根付いています。

ひと口メモ 韓国の就活事情

 就職難が続く韓国。雇用状況は日本よりも厳しい。

 日本における求職者一人当たりの求人件数を指す有効求人倍率は、2025年度平均で1.20倍。2010年代以降、1を上回る「売り手市場」が続く(※2)。

 一方の韓国は、2025年の求人倍率が0.36倍。コロナ禍で雇用が減少した2020年(0.39倍)よりも低く、1を下回る状況が常態化している(※3)。

 こうした背景から、韓国では政府主導で若年層の海外就職を後押しする「K-MOVE」事業が進められてきた。ピーク時の2019年には、同事業を通じて、2469人の韓国人が日本で就職した(※4)。

(※2)厚生労働省調査より

(※3)韓国政府の公式統計ポータル「e-国指標」より

(※4)大韓貿易投資振興公社資料より


──韓国出身の方で日本で働きたいと思う人は、どのような動機からなのでしょうか?

 主に語学力を生かしたい、日本のおもてなしや技術を学びたい、キャリア形成に役立てたい、などの動機が挙げられます。

 韓国国内で働くことを考えた時に、その厳しい就職競争や就職難という事情があって、海外という選択肢も出てくるわけですが、海外で働くことも彼らにとっては一つのスペックになります。それがちゃんと履歴書に書けるかどうかが大きなポイントになります。

 大企業志向の根強い韓国では、学生が希望の就職先から内定を得るために、大学に7〜8年在籍することも珍しくありません。中には、国内での就職準備のために長い期間を費やすよりは、日本をはじめ海外で働く方がいいと考える人も出てきます。

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