イオン株「最高値からほぼ半値」の衝撃 それでも高い市場の期待、どう応える?(3/3 ページ)
「日本最大の小売業」の株価が、たった4カ月で4割以上吹き飛んだ。営業利益は過去最高を更新したにもかかわらず、なぜ市場からこのような評価をされているのか、解説する。
「トップバリュ」2兆円目指す、構造的優位
イオンは新たな中期経営計画で、2030年度にPB「トップバリュ」の売上高を2兆円規模に引き上げる目標を掲げた。2026年2月期実績の約1兆2000億円から、2027年2月期は1兆4000億円を目指す。
PBは粗利益率がナショナルブランドより高く、構成比上昇はそのまま利益率改善に直結する。さらにイオンはPBの原価低減で生まれた余力を価格に還元し、低価格で販売する方針も明確にしている。インフレ下で「低価格の訴求と利益率の向上」の両取りを狙う、教科書的だが極めて野心的な戦略だ。
実際、足元の決算でもPB商品の伸びは際立っている。トップバリュの売上高は2026年2月期に約1兆2000億円に達した。これは、ファーストリテイリングのユニクロ国内事業を上回る規模であり、単一のPBブランドとしては日本最大級だ。
原材料調達のスケールメリット、生産委託先との価格交渉力、売り場の自由度――どれを取っても、ナショナルブランド依存の同業他社にはまねできない優位性を持つ。
ここに、ショッピングセンター(SC)事業の収益化やフィナンシャル事業のアジア展開、ヘルス&ウエルネスの拡大が重なれば、営業利益3400億円という今期計画から、さらに上振れするようなシナリオも描ける。
また、完全子会社化による本体へのプラス寄与や構造改革の効果が顕在化する頃には、純利益を積み増す可能性も十分ある。
ただし、それまでの2〜3年は、営業利益と純利益のギャップに苦しむ決算が続く可能性に注意が必要だ。PER60倍という投資家からの期待を正当化し続けるには、毎四半期、市場の高い期待に応えるような「サプライズ」が必要になる。
市場から問われるのは、PBの利益率改善や完全子会社化後の収益改善、そしてアジア事業の収益化時期だろう。この3点を、市場が納得する形で示せるかにかかっている。
イオンの真価が問われるのは、これからだ。
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