イオン株「最高値からほぼ半値」の衝撃 それでも高い市場の期待、どう応える?(2/3 ページ)
「日本最大の小売業」の株価が、たった4カ月で4割以上吹き飛んだ。営業利益は過去最高を更新したにもかかわらず、なぜ市場からこのような評価をされているのか、解説する。
営業最高益でも売られる理由
2026年2月期決算は、表面的には文句のつけようがない内容だった。
イオンの連結売上高は10兆7153億円(前期比5.7%増)で営業利益2700億円を突破(同13.8%増)。5期連続で過去最高売上高を達成し、営業利益も過去最高を更新した。
さらに2027年2月期予想では、営業収益12兆円、営業利益3400億円と、前期の過去最高からさらに2ケタ成長を見込むという強気の姿勢を崩さない。
それでも株価は急落した。理由は決算に記された最後の一行にある。
同社の親会社株主に帰属する当期純利益の予想は、10兆円の売上高に対して1%未満のわずか730億円(前期比0.4%増)だった。営業利益が4分の1以上伸びるのに、純利益はほぼ横ばいだったのだ。
市場は営業利益と純利益の異様な乖離(かいり)に違和感を覚えたのである。
「イオン帝国」にのしかかる統合コスト
この乖離は偶然ではない。「イオン帝国」ともいわれることすらある、超巨大な企業グループ構造そのものが、営業利益と純利益の乖離を生み出している。
そもそもイオンは、イオンモール、イオンフィナンシャルサービス、ウエルシアHD、イオンディライトなど、上場子会社を多数抱える複合体だ。
連結営業利益はこれらの子会社をフルに取り込むが、純利益の段階では子会社の利益のうち「外部の少数株主に帰属する部分」が控除される。営業利益の伸びがそのまま親会社株主に届かない構造的なハンディキャップを、もともと抱えているのだ。
これに加えて、足元では大型の構造改革コストが純利益を圧迫している。イオンは2025年以降、イオンモール、イオンディライト、ホームセンターのサンデーなどを順次完全子会社化する方針を表明済みだ。狙いは、少数株主に配分されていた利益を取り戻し、グループ経営の自由度を高めることだった。
長期的にはポジティブといえる施策だが、TOBに伴う買収プレミアムや関連費用、グループ再編コストは、当面の純利益を確実に削る。
さらに、ドラッグストアやデベロッパー事業の積極投資、PB「トップバリュ」の原価低減投資、デジタル基盤整備など、収益化までに時間を要する投資案件が並ぶ。営業利益と純利益のあいだに、未来への投資と資本コストが厚くのしかかっている格好なのだ。
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